大阪ガスとJBIC、比AGPに100億円出資

東南アジア等でLNG基地・供給・発電事業等推進

2019/07/23

 大阪ガスは、7月22日、「100%子会社であるOsaka Gas Singapore Pte. Ltd.(OGS)を通じ、国際協力銀行(JBIC)とともに、AGP International Holdings Pte. Ltd.(AGP IH)に出資した。また、AGP IHと天然ガスバリューチェーンに関する戦略的協業契約を締結した」と発表した。合計出資額は100億円とのことであるが、出資比率などは発表されていない。

 AGPグループは、フィリピンにおいて100年以上の歴史(1900年創立)を持つ建設・エンジニアリング事業を基盤とする企業グループである。近年は、中小型のLNG船設計などを行う「Gas Entec Co., Ltd.」 を買収するなど、段階的に事業の範囲を拡大している。LNG事業における確かな技術力や高いマーケティング能力を有しており、東南アジアやインドを中心に浮体式LNG基地事業や都市ガス事業に参画するなど、積極的に需要を開拓し、LNG事業の拡大を進めている。

 大阪ガスは、現在シンガポール・タイ・インドネシアでガス配給事業や産業用ガス販売事業、エネルギーサービス事業などを展開しており、ベトナムでも本年事業を開始する予定である。大阪ガスは、収益基盤の強化のため、連結経常利益に占める海外事業と国内事業の比率を、2017年度の1:20から、2030年度までに1:2まで高めることを掲げている。

 こうした中、大阪ガスは、AGPへの出資を通じて、新規LNG受入基地事業及び都市ガス事業へ参画するとともに、国内で培った両事業のノウハウを活かしてAGPとの協業を促進させることで、今後のさらなる海外事業拡大の足掛かりとすることを企図している。今回の出資および戦略的協業契約の締結により、AGPグループが有するLNG事業における案件発掘力やエンジニアリング力と、大阪ガスが国内で蓄積してきたLNGやパイプラインなどに関する知見を相互に活用することで、東南アジアをはじめとしたLNG新興国において、LNG基地事業や発電事業およびLNG供給事業などを含めた天然ガスバリューチェーンの構築に取り組んでいく方針である。

 また、「エネルギー基本計画」(2018年7月閣議決定)を始めとする日本政府の政策において、アジアのLNG市場の拡大は、日本のエネルギー産業の海外における事業基盤の拡大とともに、日本のLNGの安定確保にも資するものとされている。今回の出資資金は、AGPが今後展開していくLNG中・下流関連事業に供されるものである。JBICが政策金融機関としてこうした取り組みを支援することは、日本の政策にも合致するものである。JBICは今後も、日本の公的金融機関として、出資機能を含む多様な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、日本企業の海外事業展開を支援していく方針である(19年7月22日の株式会社国際協力銀行と大阪ガス株式会社のリリースなどより)。