比セブン-イレブン、上半期22%増収で実質48%増益

店舗12%増の2,664店で独走、ミンダナオ241店に

2019/08/15

 フィリピンでもコンビニエンス業界の競争が激化しつつある。現在は業界断トツのセブン-イレブンをマーキュリー・セルフサービス、ミニストップ、ファミリーマートなどが追うという構図になっている。2015年3月にはローソンもフィリピン1号店をオープン、2019年6月末で45店に達しているとみられる。

 首位のセブン-イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが52.216%(2019年6月末現在)を所有するフィリピン・セブン社 (PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、1998年2月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。1984年2月にケソン市エドサ通り沿いに1号店オープン、その後、店舗網拡充に注力、2013年末に1,000店の大台を突破、2018年末には2,550店に達した

 2019年も店舗数が順調に増加している。2019年6月末で2,664店に達し、前年同月末の2,385店から279店、率にして11.7%増加した。今上半期は、132店を新規オープン、18店を閉鎖、すなわち2018年末から114店の純増となっている。そして、ミニストップ(6月末518店)やファミリーマート(同73店)などとの差を拡大させている。
  6月末のセブン-イレブン2,593店の地域別内訳はルソン地域2,043店(うちマニラ首都圏963店)、セブを中心とするビサヤ地域380店、ダバオを中心とするミンダナオ地域241店となっている。また自営店が45%、フランチャイズ店が55%となっている。

 このようなPSCの今上半期のグループ全売上高は前年同期比(以下同様)21.7%増の270億ペソ、増収効果や効率化効果などにより営業利益は46.5%増の11億5,050万ペソに達したが、新リース会計基準採用という一時的要因により報告純利益は9%減の4億8,530万ペソへと減少した。しかし、旧会計基準ベースでの営業利益は47.5%増、純利益は47.8%増の7億8,790万ペソであった。すなわち、実質47.8%増益決算であったといえる。

 今上半期の実質二桁増収増益の要因は、新店効果に加え、既存店売上高が10%増と好調だったことなどである。2018年初から導入された税制促進包括改革(TRAIN)パッケージ1については、個人所得税率引き下げによる購買力向上という好影響をもたらしている。また、加糖飲料への課税に関しても、売上数量は落ち込むことはなく、売上単価の上昇という効果をもたらしているようである(19年8月15日のフィリピン証券取引所回覧05738-2019号などより)。


 フィリピンのセブン-イレブン店舗数(年末)とPSC年間純利益推移(単位:百万ペソ)
時期 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年上半期
店舗数 551 689 829 1,009 1,282 1,602 1,995 2.285 2,550 2,664
純利益 276.9 356.3 465.2 682.6 873.3 1,008.3 1,175.5 1,317.9 1,531.8 787.9
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)  

主な日本ブランドのコンビニ店舗数(年末・月末値、比セブン-イレブンやファミリーマートは資本的には非日系)
年・月 15年 16年 17年 18年 19年
3月 6月 9月 12月 3月 6月
セブン-イレブン 1,602 1,995 2,285 2,329 2,386 2,442 2,550 2,593 2,664
ミニストップ 519 499 496 489 488 496 499 512 518
ファミリーマート 120 99 66 64 65 66 69 69 73
ローソン 16 29 31 34 34 36 38 39 45(推)
(出所:各社資料より作成、ミニストップとファミリーマートは日本側発表数値、セブン-イレブンとローソンはウェブ等から推計)