ローム、フィリピンで車載用高性能IC生産へ

先端大型液晶パネル対応、省電力化にも貢献

2019/08/23

 ローム(本社:京都市)は、自動車のカーナビやセンターインフォメーションディスプレイ、クラスターパネルに向けて、液晶バックライト用LEDドライバIC「BD81A76EFV-M」を開発した。

 「BD81A76EFV-M」は、12インチクラスの液晶パネルに対応可能な6チャネル出力(120mA/ch)の車載液晶バックライト用LEDドライバICである。従来の4チャネル出力品が8インチクラスの液晶パネルアプリケーションまでしか対応できなかったのに対して、より大きな10~12インチクラスのアプリケーションに対応することができる。同時に、幅広い数のLEDを駆動できるローム独自の昇降圧制御を搭載しているため、最先端12inchクラスの大型液晶だけでなく小型液晶まで1つのLEDドライバで対応することができる。これらにより、モデル展開を考えた液晶パネル制御基板の設計共通化(プラットフォーム化)にも貢献する。

 なお、「BD81A76EFV-M」はは2019年7月よりサンプル出荷(サンプル価格 800円/個:税抜)を行っており、2019年10月から当面月産10万個の体制で量産を開始する予定である。生産拠点は前工程、後工程ともにROHM Electronics Philippines Inc.(ローム エレクトロニクス フィリピン)になる。

 近年、自動車分野では視認性やデザイン性向上を目的として、カーナビ、クラスター、ヘッドアップディスプレイなどで液晶パネル化が急激に進んでおり、同時にパネルの大型化も求められるようになっている。それに伴い、液晶バックライトLEDの灯数や明るさに対する要望も多種多様になってきており、LEDドライバには多チャネル化をはじめ、調光の高度化やLEDちらつき防止などが求められている。

 ロームは、これまで培ってきたアナログ設計技術を駆使し、昇降圧制御などの独自技術をLEDドライバに組み込むことで、制御基板の共通設計化やちらつきのない液晶パネルの実現に貢献してきた。今回新たに6チャネルのLEDドライバを開発したことで、自動車への大型液晶パネル導入に貢献する。今後も、車載システムの最適化や省電力化を実現する製品を開発し、自動車の技術革新に貢献していく方針である。 

<新製品の特長>
1. ローム独自の昇降圧制御で、小型から大型パネルまで1製品で対応可能
2. 業界トップクラスの6チャネル出力で、12インチクラスの最先端大型液晶パネルに対応
3. スタンバイ電流10µAで、アプリケーションの低消費電力化に貢献
4. スペクトラム拡散機能搭載で、高信頼の低ノイズ動作を実現(19年8月21日のローム株式会社ニュースリリースより)。