8カ月間の財政赤字、57%減の1,204億ペソに

歳出横這い、プライマリー収支1,302億ペソの黒字

2019/09/24

 フィリピン財務局の発表した速報値によると、2019年8月の財政赤字は前年同月比3.8%減の25億ペソに縮小した。その結果、年初8カ月間(1月~8月)の累計赤字は前年同月比57.3%減の1,204億ペソにとどまっている。今年度予算成立の遅れが選挙期間中の新規公共事業の禁止と相まって歳出が抑制された一方、歳入が増加したことで、赤字が大幅に減少した。

 8月の歳入は前年同月比(以下、同様)8.9%増の2,797億ペソ。内訳は、内国歳入庁(BIR)の税収が11.1%増の2,056億ペソ、関税局(BOC)は3.0%増の536億ペソ。その他税収は3.7%増の26億ペソ。非税収の財務局(BTr)は9.2%増の59億ペソ、政府預金の金利収入やフィリピン賭博公社(PAGCOR)の収入の政府配当等が増加したことによる。その他収入は1.7%増の120億ペソにとどまった。一方、8月の歳出は8.8%増の2,822億ペソで、そのうち利払い額は30.7%減の196億ペソで、歳出全体の6.9%を占めた。

 2019年年初8カ月間累計では、歳入が前年同期比(以下、同様)9.5%増の2兆0,914億ペソ。内訳は、内国歳入庁(BIR)の税収が10.6%増の1兆4,523億ペソ、関税局(BOC)は7.2%増の4,112億ペソ、その他税収が8.1%増の161億ペソ。非税収の財務局(BTr)は29.5%増の1,079億ペソ、その他収入が8.7%減の1,038億ペソであった。一方、歳出は0.9%増の2兆2,118億ペソ。そのうち利払い額は5.0%増の2,506億ペソで、歳出全体の11.3%を占めた。

 歳出から歳入と利払い費を除外して算出されるプライマリーバランス(PB、基礎的財政収支)に関しては、8月は171億ペソの黒字で前年同月の257億ペソの黒字から33.4%減となった。一方、8カ月間では1,302億ペソの黒字転換となった(19年9月23日のフィリピン財務省発表より)。


                      財政収支動向      (単位:億ペソ)

期間 8月 1-8月
18年 19年 伸び率 18年 19年 伸び率
歳入 2,569 2,797 8.9% 19,092 20,914 9.5%
 税収 2,396 2,618 9.3% 17,121 18,796 9.8%
   内国歳入庁(BIR) 1,851 2,056 11.1% 13,136 14,523 10.6%
   関税局(BOC) 520 536 3.0% 3,835 4,112 7.2%
   その他 25 26 3.7% 149 161 8.1%
 非税収 173 180 4.0% 1,971 2,117 7.4%
   財務局(BTr) 54 59 9.2% 833 1,079 29.5%
   その他 118 120 1.7% 1,138 1,038 -8.7%
 
歳出 2,595 2,822 8.8% 21,911 22,118 0.9%
   利払い 283 196 -30.7% 2,387 2,506 5.0%
    その他 2,312 2,626 13.6% 19,525 19,612 0.4%
 
財政収支 -26 -25 赤字4%減 -2,820 -1,204 赤字57%減
プライマリーバランス 257 171 -33.4% -433 1,302 黒字転換
(出所:フィリピン財務局資料より作成、2019年は速報値)


                           フィリピン財政収支推移(単位:億ペソ)

項目 年間実績推移
09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年
財政収支 -2,985 -3,145 -1,978 -2,428 -1,641 -731 -1,217 -3,534 -3,506 -5,583
対GDP比 -3.7% -3.5% -2.0% -2.3% -1.4% -0.6% -0.9% -2.4% -2.2% -3.2%
(出所:フィリピン財務局資料より作成)