日本のデング熱輸入元、フィリピンが最多

9カ月間で66件、全体の19%

2019/10/17

 国立感染症研究所感染症疫学センターは10月16日、海外でデング熱に感染して日本帰国後に発症した「輸入症例」の渡航国別(推定感染地別)動向最新版を発表した。この解析においては、個人の感染リスク行動、渡航国内における流行の地域差は考慮していない。

   この発表によると、2019年年初9カ月間(1月~9月)の輸入デング熱症例報告数は合計348件で、前年同期の143件から2.4倍増えた。アジア地域では、フィリピン(66件)、カンボジア(47件)、インドネシア(40件)、タイ(39件、ベトナム(31件)、マレーシア(24件)となっている。9月単月では合計348件で、そのうちフィリピンの18件が最も多く、次いでカンボジア(11件)、ベトナム(8件)、タイ(5件)となった。フィリピンでデング熱が大流行していた影響がみられる。

 デング熱は通常、急激な発熱で発症し、発疹、頭痛、骨関節痛などの症状が見られる。デング熱患者の一部は重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがある。デング熱等の蚊が媒介する感染症については、蚊に刺されないよう予防措置をとるとともに、万が一発症した場合には、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要となる(19年10月16日の国立感染症研究所感染症疫学センター発表より)。

     日本における主要渡航国別の輸入デング熱症例報告数推移  (2019年10月2日時点)

推定感染地 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年1~9月
 フィリピン 75 64 43 47 66
 カンボジア 5 6 3 15 47
 インドネシア 66 111 21 18 40
 タイ 27 24 14 28 39
 ベトナム 9 31 31 17 31
 マレーシア 28 16 17 12 24
 インド 15 19 40 14 12
 モルディブ 3 3 3 3 11
 スリランカ 7 7 21 5 8
 ミャンマー 15 4 21 4 8
その他を含む総数 292 343 245 201 348
(出所:国立感染症研究所感染症疫学センター資料より作成、推定感染期間に1カ国のみ渡航している症例を集計)