比トヨタ、帰属純利益13%増の73億ペソに

売上高2%増の1,214億ペソ:19年9カ月間

2019/11/15

 大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。GTCAPは、トヨタ自動車の製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ マニラベイ(TMBC)の58.05%を保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ ファイナンシャルサービス フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。

 これらのトヨタ関連各社は各々存在感を強めている。特に、TMPの強さが際立っており、2018年まで17年連続の3冠王(総合販売台数、乗用車販売、商用車販売いずれも首位)となっている。2019年も、業界トップの座を強固なものとしている。
 
 11月14日発表のGTCAP事業報告書によると、2019年9カ月間(1月~9月)のTMPの卸売ベースの販売台数は前年同期比(以下同様)0.4%増の11万7,597台。一方、小売ベースの販売台数は4.3%増の11万4,117台で、業界全体の増加率1.7%を上回った。TMPの9月の市場シェアは38.4%と高水準、前年の37.6%から上昇した。
 
 これらの結果、売上高は1.7%増の1,214億ペソに達した。損益面では、値上げ、ペソ高効果などにより粗利益は17.6%増の154億ペソ、営業利益は18%増の100億ペソへと二桁増加した。帰属純利益も13.2%増の73億3,720万ペソと高水準であったが、ヴィオス旧モデルに対する優遇措置期間終了などに伴う所得税増加で、営業利益の伸び率を下回った。いずれにしても、依然として厳しい環境下で、堅調な業績推移であったといえる。
 
 下表の様に、年間ベースの帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で急増した。そして、15年には100億ペソの大台を突破、さらに、16年、17年と続伸し、3年連続で100億ペソの大台を突破した。2018年は車両税改定という一時的要因などで減益となり100億ペソを割り込んだが、2019年は100億ペソ台回復が期待される状況である。
 
 なお、TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。すなわち、昨年設立30周年を迎えたのである。出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTキャピタル(GTCAP)51%となっている。現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し今年10周年を迎えた「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。 


トヨタモーター・フィリピンの業績等の推移(単位:百万ペソ、18年までは年間値、19年9カ月間伸率は前年同期比)
13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年9カ月 伸率
売上高 80,677 104,887 114,289 155,833 185,337 159,150 121,411 1.7%
粗利益 10,257 14,629 18,299 21,072 23,059 16,695 15,379 17.6%
営業利益 5,719 9,859 13,910 15,669 16,798 10,378 9,989 18.0%
帰属純利益 4,219 7,209 10,195 11,929 13,186 7,952 7,337 13.2%
総資産 23,750 26,681 32,278 36,003 42,158 36,428 48,513 33.2%
株主資本 9,286 11,923 15,228 17,492 19,148 15,238 14,303 -6.1%
(出所:GTキャピタル事業報告書などより作成)