三井住友銀行とメトロバンク、合同経済セミナー

長い協働の歴史、強力な日系顧客支援体制

2019/11/22

 三井住友銀行(SMBC)マニラ支店(所在地:マニラ首都圏マカティ市)と当地第2位(資産ベース)の拡大商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、本店:マカティ市)が、11月21日、メトロバンク本店において、経済セミナーと懇親会を共同開催した。一昨年、昨年に続き3回目の開催となった。今回は、日系企業、現地企業関係者ら約120名超が出席、メトロバンク幹部やSMBCの影山善章アジア・大洋州副本部長の参加もあって盛況なイベントとなった。
 
 セミナーは3部構成で、第1部は株式会社アイキューブの公認会計士である坂本直弥氏の「フィリピンの事業関連法改革と日系企業への影響」、第2部がSMBCアジア・大洋州トレジャリー部のエコノミスト阿部良太氏による「2020年の展望:世界経済とフィリピン経済」、第3部がメトロバンクのバウティスタ調査部長による「リサーチブリーフィング」であった。時宜を得た事業関連法改革への対応策、フィリピン経済や金利・為替の動向や見通しなどが丁寧に説明され有益なセミナーであった。
 
 両行は1995年に合弁で投資会社を設立し、2007年にはメトロバンクのジャパンデスクにSMBCから職員を派遣するなど古くから親密な関係を構築してきた。2015年にSMBCがマニラ支店を開設して以降は、新たに協働の覚書を締結し、ジャパンデスクへの職員派遣継続、キャッシュマネジメントサービスにおける連携、ビジネスマッチングなど幅広い分野での協働を行っている。今後も両行の強みを生かした協働を行い付加価値の高いサービスを提供していく方針である。SMBCは、今年度より顧客の事業エリアの拡大をタイムリーに支援すべく、シンガポールにアジア地域を横断的にサポートする部署を設置、クロスボーダーでの顧客のニースに応えている。
 
 なお、メトロバンク2019年9カ月間(1月~9月)の総収入は前年同期比(以下同様)17%増の800億ペソに達した。主力の融資業務などによる純金利収入が10%増の562億ペソと堅調で収入全体の70%を占めた。非金利収入は36%増の237億ペソへと二桁増加した。二桁増収の一方、効率性や生産性向上推進などで費用は9%増の429億ペソと一桁増加にとどまったことで、帰属純利益は29%増の216億ペソへと大幅増加した。特に、第3四半期(7月~9月)は49%増の85億ペソと好調であった。

 2019年9月末現在の受け入れ預金残高は前年同月末比(以下同様)2.2%増の1兆5,766億ペソ、融資残高は6.5%増の1兆4,124億ペソであった。総資産は9.5%増の2兆3,293億ペソ、株主資本は9.8%増の3,047億ペソに達している。自己資本比率(CAR)は17.6%で中央銀行の最低基準10%を大幅に上回っている。補完資本(TIER2)を除いた普通株式中核自己資本比率(Tier1)は16.3%と良好で中央銀行の最低基準8.5%の2倍近くに達している。不良債権(NPL)比率は1.5%と依然低水準、NPL貸倒れ引当率は96%で今年6月末の87%から上昇している。

 メトロバンクの国内店舗数は950店超、海外拠点は30箇所超に達している。日本を始め、アメリカ、カナダ、英国、日本、韓国、シンガポール、中国、香港、台湾の主要都市に支店・現地法人を展開している。設置ATM台数は2,300台超。本店には2002年よりジャパンデスクを設置済み。現在同デスクは、日本人3名を含む総勢約20名以上の陣容となっている。在日拠点は東京支店(設置:1996年3月、フィリピン銀行としての初の日本進出)、大阪出張所(設置:1998年12月)の2拠点となっている。

 日系中堅中小企業のフィリピン進出・投資が増加しており、メトロバンクは日本の政府系金融機関2行(日本政策金融公庫・国際協力銀行=JBIC)と地域金融機関65行との間で、日系企業のフィリピン進出支援について提携しており、ほぼ日本全国の地域金融機関が窓口になる。地域金融機関は個別提携22行、国際協力銀行(JBIC)を通じた提携45行(重複行あり)となっている。