2019年の平均インフレ率2.5%(前年5.2%)

3年ぶりの低水準、12月は半年ぶりの高水準

2020/01/08

 フィリピン統計庁(PSA)発表によると、2019年12月の総合インフレ率(総合消費者物価指数、2012年=100)は2.5%(速報値)となり、前月から1.2%ポイント上昇、19年7月の2.4%以来6カ月ぶりの高水準となったが、フィリピン中央銀行(BSP)の事前予想(1.8%~2.6%)の範囲内には収まった。

 12月のインフレ率が前月より上昇した主な理由は、物価指数構成比の約4割を占める食品・非アルコール飲料の物価上昇率が1.7%(うち食品は1.7%)と前月の0.0%から上昇したことに加え、酒類・煙草(18.4%)、住宅・水道・光熱費(1.9%)、家具・住宅設備管理(3.1%)、交通・輸送(2.2%)など4項目が上昇したことによる。12月の特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率は3.1%であった。

 総合インフレ率を地域別で見ると、首都は2.8%で前月から1.3%ポイント上昇、一方、地方は2.4%と前月から1.2%ポイント上昇した。インフレ率が最も高かった地域は、ビコール(3.3%)、次いでカラバルソン(3.1%)。最もインフレ率が低かった地域は、バンサモロ・ミンダナオ・イスラム教徒自治区(0.8%)、次いでサンボアンガ半島(1.2%)だった。

 中央銀行(BSP)発表によると、12月の総合インフレ率2.5%への寄与度は、食品・非アルコール飲料0.7%(うち食品0.6%)、住宅・水道光熱費0.4%、外食・サービス他0.3%、酒類・煙草0.3%、教育0.2%、交通・輸送費0.2%、健康・医療0.1%、衣料・靴類0.1%など。一方、年間の平均インフレ率2.5%への寄与度は、食品・非アルコール飲料0.8%(うち食品0.6%)、住宅・水道光熱費0.5%、外食・サービス他0.4%、酒類・煙草0.2%、交通・輸送費0.1%、健康・医療0.1%、衣料・靴類0.1%など。

 2019年の平均総合インフレ率は2.5%となり、政府の2019年インフレ目標圏内(2%~4%)に収まった。そして、前年の5.2%から大幅鈍化、2016年の1.3%以来3年ぶりの低水準となった。食料品の平均インフレ率が前年の6.6%から1.8%へと急鈍化したことなどが寄与した。2019年の平均コアインフレ率は3.2%で前年の4.2%から鈍化した。


      総合消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率:2012年基準、前年同月比%)

項目 2019年12月 2019年11月 2018年12月 19年1-12月
全国    総合インフレ率 2.5 1.3 5.1 2.5
       コアインフレ率 3.1 2.6 4.7 3.2
首都圏  総合インフレ率 2.8 1.5 4.8 2.6
地方    総合インフレ率 2.4 1.2 5.3 2.5
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)

  総合CPI上昇率(2012年基準)とインフレ目標の推移
2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
インフレ率実績 2.6% 3.6% 0.7% 1.3% 2.9% 5.2% 2.5% -
インフレ目標  3~5% 3~5% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4%
 (出所:フィリピン国家統計庁と中央銀行資料より作成)

                      総合CPI上昇率(2012年基準、前年同月比%)

項目 19年
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 平均
総合 4.4 3.8 3.3 3.0 3.2 2.7 2.4 1.7 0.9 0.8 1.3 2.5 2.5
食品・非アルコール飲料 5.6 4.7 3.4 3.0 3.4 2.7 1.9 0.6 -0.9 -0.9 0.0 1.7 2.1
酒類・煙草 16.1 12.2 10.8 9.9 9.5 9.3 8.8 10.1 14.3 16.5 17.6 18.4 12.8
衣料・履物類 2.5 2.4 2.5 2.4 2.4 2.4 2.6 2.8 2.7 2.8 2.6 2.6 2.6
住宅・水道光熱費 4.0 3.7 3.4 3.2 3.3 3.0 2.2 1.8 0.8 0.6 1.2 1.9 2.4
家具・住宅設備管理 3.9 3.8 3.4 3.2 3.2 3.1 2.9 2.9 2.9 2.7 2.8 3.1 3.2
健康・医療 4.3 4.2 3.9 3.6 3.6 3.7 3.2 3.1 3.1 2.9 3.1 2.9 3.5
交通・輸送 2.5 1.2 3.3 3.8 3.5 1.6 0.7 -0.2 -0.9 -1.7 -2.4 2.2 1.0
通信 0.4 0.4 0.3 0.4 0.4 0.3 0.3 0.3 0.2 0.2 0.3 0.3 0.3
娯楽・文化 3.2 3.1 3.1 3.1 3.1 3.2 3.2 1.7 1.4 1.4 1.4 1.4 2.5
教育 -3.8 -3.8 -3.8 -3.8 -3.8 -4.5 4.2 4.6 4.6 4.6 4.6 4.6 0.2
外食・雑貨・サービス 4.3 4.0 3.7 3.5 3.3 3.3 3.3 3.2 3.0 2.9 2.7 2.7 3.4
首都圏 4.6 3.8 3.2 3.1 3.4 3.0 2.3 1.4 0.9 1.3 1.5 2.8 2.6
 地方 4.4 3.8 3.4 3.0 3.1 2.6 2.4 1.8 0.9 0.7 1.2 2.4 2.5
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)


                食料物価上昇率   (2012年基準、前年同月比%)
項目 食品 コーン 果物 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 パン・シリアル 砂糖・菓子類 その他食品
12月 6.3 6.0 2.6 3.8 8.1 5.5 9.9 2.9 4.8 5.5 9.7 5.9
19/1月 5.1 4.7 0.9 2.2 5.6 5.0 7.8 2.6 4.5 4.4 8.5 5.8
2月 4.2 2.9 -0.3 1.8 4.9 4.1 7.8 2.5 4.1 2.9 8.0 3.5
3月 3.1 1.4 -2.4 1.7 4.0 4.1 4.8 2.5 3.8 1.8 7.1 3.5
4月 2.9 0.0 -3.0 2.4 7.6 3.9 3.3 2.6 3.4 0.7 6.2 5.3
5月 3.2 -0.7 -2.8 4.6 12.5 3.4 4.2 2.6 3.0 0.3 5.4 6.8
6月 2.6 -1.7 -4.0 5.0 9.5 3.3 3.8 2.5 2.9 -0.6 2.2 7.3
7月 1.7 -2.9 -3.0 6.6 3.4 3.5 3.8 2.4 2.5 -1.5 -1.4 6.7
8月 0.3 -5.2 -3.7 7.4 -1.4 2.5 2.8 2.7 1.8 -3.2 -2.9 6.6
9月 -1.3 -8.9 -4.1 7.9 -4.7 2.4 1.4 3.1 1.2 -6.0 -4.1 6.3
10月 -1.3 -9.7 -3.9 9.6 -0.8 2.7 0.8 3.1 0.8 -6.6 -4.3 6.1
11月 -0.2 -8.3 -2.2 8.4 1.0 3.2 2.5 3.2 0.6 -5.6 -3.8 5.6
12月 1.7 -6.8 -1.5 7.5 8.2 3.2 7.4 3.3 0.5 -4.4 -3.1 6.3
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)


        2019年12月及び年間のインフレ率(2012年=100)と寄与度 (単位:%)

項目 物価指数
構成比
12月 1-12月
インフレ率 寄与度 インフレ率 寄与度
総合 100.00 2.5 2.5 2.5 2.5
食品・非アルコール飲料 38.34 1.7 0.7 2.1 0.8
   うち食品のみ 35.46 1.7 0.6 1.8 0.6
酒類・煙草 1.58 18.4 0.3 12.8 0.2
衣料・履物類 2.93 2.6 0.1 2.6 0.1
住宅・水道光熱費 22.04 1.9 0.4 2.4 0.5
家具・住宅設備管理 2.95 3.1 0.1 3.2 0.1
健康・医療 3.89 2.9 0.1 3.5 0.1
交通・輸送 8.06 2.2 0.2 1.0 0.1
通信 2.93 0.3 0.0 0.3 0.0
娯楽・文化 1.41 1.4 0.0 2.5 0.0
教育 3.28 4.6 0.2 0.2 0.0
外食・サービス他 12.59 2.7 0.3 3.4 0.4
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)