「ソレア」運営のブルームベリー、19年は38%増益

純利益99億ペソ、今年は新型ウイルスや競合懸念

2020/03/05

 フィリピン政府は、国家プロジェクトとして観光事業を強力に推進することを目的に、マ二ラ湾岸沿いに「マニラベイ・エンターテインメントシティー」を創設しつつある。そこでは、日本のユニバーサルエンターテインメント・グループを含む4グループのカジノ複合リゾート施設の開発が行われたり、行われつつある。

 その4グループの一つが当地最大の港湾企業インターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービシズ(ICTSI)の総帥エンリケ・ラソン氏傘下のブルームベリー・リゾーツ(ブルームベリー)である。ブルームベリーによる大型カジノリゾート「ソレア・リゾート&カジノ」(ソレア)が、2013年3月、「マニラベイ・エンターテインメントシティー」の第1号カジノリゾートとして開業した。

 このブルームベリーが、3月4日、2019年(1月-12月)の連結決算を発表した。それによると、ブルームベリー・グループの2019年の純収入は前年比(以下同様)22%増の466億ペソ、ソレアの堅調な業績に支えられた。EBITDA(金利・税金・償却前利益)は33%増の198億ペソ、純利益は38%増の99億ペソと二桁の増収増益になった。営業費用は13%増の265億ペソ。継続的な費用効率向上の取り組みにより、純収入の伸び率より低く抑えることができた。

 ソレアの総カジノ収入(GGR)は17%増の598億ペソに達した。VIP及びマスゲーミングセグメントが成長を牽引した。ソレアのVIPテーブルは20%増の262億ペソ、マステーブルは10%増の167億ペソ、スロットマシン(EGM)は21%増の168億ペソと、軒並み二桁の増加となった。ホテル・飲食・小売りなど非カジノ収入は23%増の80億ペソ。ホテル稼働率は90.5%と前年の92.6%を下回ったが、依然高稼働率と言える。ブルームベリーは、ソレアのほか、韓国済州島にチェジュ・サン・ホテル&カジノ(Jeju Sun)を運営している。
 
 なお、「マニラベイ・エンターテインメントシティー」において、2016年末にソフトオープンした3軒目のカジノリゾート「オカダ・マニラ」が急成長している。「オカダ・マニラ」を運営するタイガーリゾート・レジャー&エンターテインメント社(TRLEI)の2019年の総売上高は前年比46%増の423億8,100万ペソ、そのうち、カジノ収入は46%増の397億9,400万ペソに達した。営業損益段階ではまだ赤字が残っているが、増収率はソレアを大幅に上回った。

 このように、競合が激しくなっていることに加え、2020年は、世界的な新型コロナウイルス感染問題で、訪問客数、特に中国人の訪問が減少する懸念がある。チャレンジングな年となることが予想される。