比セブン、新型コロナで30%一時休業、24時間10%のみ

2019年は実質30%増益、既存店10%増収、2,864店で断トツ

2020/04/16

 フィリピンでもコンビニエンス業界の競争が激化しつつある。現在は業界断トツのセブン-イレブンをマーキュリー・セルフサービス、ミニストップ、ファミリーマートなどが追うという構図になっている。2015年3月にはローソンもフィリピン1号店をオープン、2019年9月末で58店に達しているとみられる。

 首位のセブン-イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが52.216%(2019年9月末現在)を所有するフィリピン・セブン社 (PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、1998年2月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。1984年2月にケソン市エドサ通り沿いに1号店オープン、その後、店舗網拡充に注力、2013年末に1,000店の大台を突破、2018年末には2,550店に達した。

 2019年も店舗数が順調に増加した。2019年末で2,864店に達し、前年末の2,550店から314店、率にして12.3%増加した。2019年一年間で349店を新規オープン、35店を閉鎖、すなわち2018年末から314店の純増となっている。そして、ミニストップ(2019年末506店)やファミリーマート(同76店)、ローソン(同60店)などとの差を拡大させている。また、自営店が45%、フランチャイズ店が55%となっている。

 このようなPSCの2019年のグループ全売上高は前年比(以下同様)22.1%増の563億ペソ、商品売上高は21%増の480億ペソに達した。新店効果に加え、既存店売上高が10.3%増と好調だった。増収効果や効率化効果などにより営業利益は29.4%増の29億4,090万ペソに達したが、新リース会計基準採用という一時的要因により報告純利益は5.7%減の14億4,460万ペソへと減少した。しかし、旧会計基準ベースでの純利益は29.8%増の19億8,800万ペソであった。すなわち、実質29.8%増益決算であったといえる。

 このように、比セブン-イレブンの営業基盤、競争力は強固であるが、2020年は新型コロナウイルス感染拡大やそれに伴う地域隔離措置発動の影響を被りそうである。地域隔離措置発動のもとでコンビニエンスストアは営業継続を要請されているが、人の移動の制限が厳しく、従業員の出勤に大きな影響が出ている。

 2020年第1四半期末(3月末)時点で、比セブン-イレブン約2,900店のうち、24時間営業が継続できているのは10%、休業が30%、日中だけの営業が60%となっている。外出制限で買い物客自体が減少、物流にも支障が出ており、新型コロナ感染拡大や地域隔離措置が長引けば、営業継続要請対象業種といえども大きな影響が出そうである。


 フィリピンのセブン-イレブン店舗数(年末)とPSC年間純利益推移(単位:百万ペソ)

時期 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年
店舗数 551 689 829 1,009 1,282 1,602 1,995 2.285 2,550 2,864
純利益 276.9 356.3 465.2 682.6 873.3 1008.3 1175.5 1317.9 1531.8 1988.6
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成、19年の純利益は旧会計基準ベース)

 主な日本ブランドのコンビニ店舗数(年末・月末値、比セブン-イレブンやファミリーマートは資本的には非日系)

年・月 15年 16年 17年 18年 19年
3月 6月 9月 12月 3月 6月 9月 12月
セブン-イレブン 1,602 1,995 2,285 2,329 2,386 2,442 2,550 2,593 2,664 2,726 2,864
ミニストップ 519 499 496 489 488 496 499 512 518 508 506
ファミリーマート 120 99 66 64 65 66 69 69 73 76 76
ローソン 16 29 31 34 34 36 38 39 45 55 60
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成、19年の純利益は旧会計基準ベース)