東ソー子会社マブハイビニール(PSE上場)、収益拡大一服

2019年は米中摩擦等で8%減益、前年の3倍増益の反動も

2020/04/19

 東ソーのフィリピンにおけるソーダ工業製品の製造・販売子会社であるマブハイビニール・コーポレーション(MVC社、フィリピン証券取引所[PSE]上場)が、4月15日、2019年(1月~12月)の年次報告書を公表した。

 MVC社は1934年にマブハイラバー社として設立され、1960年に化学品、PVC製品事業を開始した。1965年から苛性ソーダ年産4千トンの生産能力で生産・販売を開始し、1966年に現在の社名に変更した。その後、フィリピンにおける苛性ソーダの需要拡大に伴い生産増強を行っており、フィリピン唯一の電解メーカーとして、その地位をより確固たるものとしてきている。現在の売上高の99%は苛性ソーダと塩素化合物で占められている。2019年末の従業員数は160名である。

 東ソーは2015年にMVC社を子会社化、2019年9月末の保有比率は87.975%となっている。三菱商事もMVC社への出資を継続(2019年6月末で6%を保有)するとともに、原料の塩類を供給してきている。
 
 このMVC社の2019年の売上高は前年比(以下同様)18.6%減の23億2,300万ペソにとどまった。米中貿易摩擦によるアジア地域での苛性ソーダなどの需要減少、市況下落が響いた。輸入コストや製造コスト低減で売上原価も26.3%減の13億7,068万ペソにとどまったが、粗利益は4%減の9億5,232万ペソへと小幅減少した。営業費用が8.9%増加したこともあって、営業利益は14.1%減の4億7,592万ペソ、帰属純利益は8.1%減の3億6,419万ペソへと減少した。

 主力製品の需要減少や販売価格が軟化したことなどで2019年は減収減益となった。もっとも、比較となる2018年の売上高が31%増、帰属純利益が2.1倍と絶好調であったことの反動でもあり、依然堅調な業績推移が続いているといえよう。

 マブハイビニールの業績等の推移(単位:万ペソ)

16年 17年 18年 19年 19年伸率
売上高 167,872 217,326 285,349 232,300 -18.6%
粗利益 48,407 56,993 99,225 95,232 -4.0%
営業利益 14,561 14,893 55,392 47,592 -14.1%
帰属純利益 12,804 12,677 39,621 36,419 -8.1%
総資産 178,304 193,246 259,880 287,219 10.5%
(出所:GTキャピタル事業報告書などより作成)