日清食品の比事業、第1四半期17%増収31%増益

カップヌードル、新型コロナ外出制限で保存食需要拡大

2020/04/30

 日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ・ファミーリーの有力食品企業ユニバーサル・ロビーナ・コーポレーション(URC)との合弁企業「ニッシン・ユニバーサル・ロビーナ・コーポレーション」(ニッシンURC、1996年設立、会計期末12月、本社:マニラ首都圏ケソン市)を通じて即席麺(インスタントラーメン)事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。

 このニッシンURCの業績が堅調に推移している。URCの年次報告書によると、ニッシンURCの2019年 (1月~12月)の売上高は前年比(以下同様)9%増の63億4,500万ペソ、EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は19%増の11億5,600万ペソ、純利益は19%増の7億1,700万ペソで増益決算となった。下表のように、近年、増収増益を続けている。

 そして、4月29日に発表された2020年第1四半期(1月~3月)事業報告書によると、ニッシンURCの今第1四半期の売上高は前年同期比(以下同様)17%増の17億9,700万ペソ、EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は31%増の3億8,900万ペソ、純利益は31%増の2億3,900万ペソで二桁増収増益決算となった。新型コロナウイルス感染対策としての厳格な外出制限措置のもとで、保存食としての需要が高まり、継続購入の動きが強まったようだ。

 なお、フィリピンでの袋麺のトップ企業は、「ラッキーミー」ブランドで知られるモンデ・ニッシンである。社名には「ニッシン」が含まれており紛らわしいが、モンデ・ニッシンは現地資本企業であり、日清食品など日本企業との資本関係は全くない。
 
 東南アジア地域は、麺食文化がもともと存在することに加え、継続的な経済成長による即席麺の消費量・販売額の拡大が見込める有望市場である。手頃な価格で簡単に食べられることから、フィリピンでの人気は衰えず需要は年々増加傾向にある。スープタイプでは特にシーフード味の人気が高い。パンシット・カントンと呼ばれる焼きそばタイプも人気で、特にカラマンシー(スダチ)味やホットチリ味が好まれている。また、付加価値の高いカップ麺の需要が高まっており、ニッシンURCの主力製品である「Cup Noodles」の販売が好調に推移している。フィリピンでは、メリエンダと呼ばれる午後のおやつの習慣があり、メリエンダ向けなどにミニサイズのカップ麺販売も増加している。

 
ニッシンURCの業績推移(単位:百万ペソ、2019年までは年間実績、2020年は第1四半期実績)
項目 16年 17年 18年 19年 20年第1四半期  前年同期比
売上高 4,361 5,103 5,815 6,345 1.797 +17% 
EBITDA 777 890 975 1,156 389 +31% 
純利益 475 559 603 717 239 +31% 
総資産 2,281 2,686 2,583 2,583 3,291 +20% 
(出所:URC年次報告書や事業報告書などから作成)