住友鉱出資のニッケル・アジア、第1四半期11%増収

EBITDA21%増も時価評価損失で9千万ペソの赤字に

2020/05/09

  フィリピンの有力ニッケル鉱山会社であるニッケル・アジア・コーポレーション社(ナック社)が、5月8日、PSE回覧03284-2020号にて2020年第1四半期(1~3月)の決算速報を発表した。

 今第1四半期の鉱石出荷量は、前年同期比(以下同様)4%減の278万トンと、新型コロナウイルス感染拡大という状況下としては比較的堅調であった。そして、平均出荷価格が1トン当たり12.95米ドルで、前年同期の10.81ドルから20%上昇した。特に輸出価格は1トン当たり28.58ドルへと45%急上昇した。これらの結果、営業収入は11%増の22億1,000万ペソに達した。

 売上原価も11%増の10億9,000万ペソにとどまったことなどで、EBITDA(利払い・償却・税金支払い前利益)は21%増の6億6,000万ペソに達した。しかし、投資に関しての時価評価損失が2億6,000万ペソに達したことなどで、純利益は74%減の6,800万ペソへと大幅減少、帰属純損益は8,900万ペソの赤字となり、前年同期の1億4,000万ペソの黒字から悪化した。

 ナック社は世界有数のニッケル資源国であるフィリピンにおいて、最大規模のニッケル鉱石生産を行う鉱山会社である。そして、住友金属鉱山の重要な戦略パートナーとなっている。住友鉱は、ナック社に2009年に資本参加した。現時点で、100%子会社である住友金属鉱山フィリピン・ホールディングス(SMMPH)を通じてナック社権益約26%を保有している。SMMPHは2010年に、フィリピンでのニッケル事業に関する地域統括会社として設立された。