比ヤクルト、第1四半期販売本数5%減も海外第4位

新型コロナによる外出・移動制限下でも1日308万本

2020/05/15

 2020年5月14日発表のヤクルト本社2020年3月期決算短信補足説明資料によると、2020年1月~3月のフィリピンヤクルトの一日当り販売数量(速報値)は前年同期に比べて5.1%減の307万9千本だった。海外市場ではインドネシアの635万5千本、中国の603万8千本、メキシコの377万1千本に次ぐ世界第4位。

 新型コロナウイルス感染拡大や3月央からのルソン島全域対象の地域隔離措置に伴い、社員の出勤やヤクルトレディの活動が制限されるような状況下で、販売は底堅く推移しているといえよう。「ヤクルト」は、医薬品を購入する余力のない低所得層にとって安価な栄養食品であり、庶民の強い味方として知名度も高い。新型コロナウイルス禍のなかで、健康飲料として支持を得ている「ヤクルト」の人気は高いともいえよう。

 フィリピンでは、ヤクルト本社が40%出資するフィリピン ヤクルト(持分法適用会社)が、1978年10月から営業を行っている。現在は、ヤクルトとヤクルトライトを製造販売している。2018年末の従業員数は1,394人、ヤクルトレディは3,623人、取引店は16万5,546店、工場はラグナ州カランバ市に立地している。日本と同基準の厳しい品質管理の下に製造された「ヤクルト」を1本約20円という低価格で販売している。

 フィリピンでの1日平均販売数量は、2011年から9年連続で販売本数が増加、そのうち2014年から2018年までは5年連続の二桁増加という成長を見せた。2019年は一桁増へと鈍化したが、世界の主要市場でトップクラスの伸び率を継続してきたといえよう。2007年に1日当たり販売本数は100万3千本と百万本の大台突破、2015年に同213万9千本で二百万本突破、2018年は三百万本台突破と順調に拡大してきている。

 なお、ヤクルトは、2019年8月に、ミャンマーで「ヤクルト」の製造販売を開始し、ヤンゴン市を中心に販売を開始した。ミャンマーが加わったことで、日本を含む40の国と地域に販売網が拡大した。


 ヤクルト海外乳製品売上数量(1日当たり本数)  (単位:千本/日、%) 
国名 連結
区分
2020年1月~3月(速報値)
売上数量 前年同期比伸び率
フィリピン 持分法 3,079 -5.1
台湾 持分法 568 -7.1
香港 連結 419 -7.7
タイ 持分法 2,100 -5.7
韓国 持分法 2,573 -11.0
シンガポール 連結 244 8.0
インドネシア 連結 6,355 13.2
オーストラリア 連結 275 10.1
マレーシア 連結 365 7.4
ベトナム 連結 602 38.5
インド 連結 210 -2.2
中東 連結 12 -31.1
ミャンマー 連結 16 N.A
中国 連結 6,038 1.1
アジア・オセアニア計
(連 結 合 計)
22,856 1.6
14,536 7.5
 
ブラジル 連結 1,542 -7.2
メキシコ 連結 3,771 -5.1
米国 連結 418 13.3
米州計 5,731 -4.6
 
ヨーロッパ計 690 4.6
 
合        計
(連 結 合 計)
29,278 0.4
20,958 3.8
(出所:ヤクルト本社の連結決算発表補足資料より)


 フィリピンヤクルトの1日当たり販売数量推移(単位:千本、%)
09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年
数量 1,299 1,220 1,295 1,502 1,594 1,877 2,139 2,449 2,762 3,088 3,196
伸び率 6.9 -6.1 6.2 15.9 6.2 17.7 14.0 14.5 12.8 11.8 3.5
(出所:ヤクルト本社決算発表補足資料などから作成)