続報:住友商事、LRT1号線運営企業に出資参画

メトロパシフィックからLRMC社株式19%取得

2020/05/30

   住友商事(本社:東京都千代田区)は、5月29日、「マニラ首都圏における都市旅客鉄道Manila Light Rail Transit System Line1(LRT1号線)の運営・保守事業を行うLight Rail Manila Corporation(LRMC社、本社:マニラ首都圏パサイ市)の株式約19.2パーセントを間接的に取得し、出資参画した」と発表した。

 フィリピンはASEAN諸国の中でも高い経済成長を誇り、今後数十年にわたり人口増加が続くと予測されている。中でもマニラ首都圏は、2035年には現在の約1.3倍の1,800万人まで人口が増加する見通しである。また、アジア開発銀行(ADB)によると、同首都圏はアジア278都市の中で最も交通渋滞が深刻な都市とされており、効率的かつ経済的な公共交通網の整備が喫緊の課題となっている。

 本案件は、住友商事が東南アジアで初めて運営に参画する旅客鉄道事業である。1984年開業のLRT1号線はマニラ首都圏をマニラ湾に沿って、ケソン市ルーズベルト駅からパサイ市バクララン駅までの約20キロメートル(20駅)を南北に結ぶ路線である。LRMC社は、急速に増加する交通需要に対応すべく、2015年に旅客鉄道事業に参画し、既存設備のリハビリ・改修、運行本数増加、路線延伸、他路線との接続向上に取り組んでいる。今後も輸送能力の拡充を図っていく方針である。

 住友商事は、これまでに国内外で積極的に鉄道関連ビジネスを展開しており、東南アジア、米国、東アジアを中心に数多くの鉄道建設案件、車両輸出案件を手掛けてきた。特にマニラ首都圏では、複数の既存路線(LRT1号線、LRT2号線、MRT3号線)で受注実績を積んでおり、現在もMRT3号線リハビリ・メンテナンス契約、南北通勤鉄道向け車両納入契約を履行している。

 今回、住友商事は、LRMC社および同社を構成する他株主と共に、LRT1号線の安全性や利便性の向上を図ることで、マニラ首都圏の交通ネットワークの強化に取り組む。また、交通渋滞の緩和による生活環境の改善と経済的損失の解消を実現することで、フィリピンの経済発展に寄与していく方針である。

 なお、これまでのLRMC社の株主は、フィリピンを拠点とする大手インフラ投資事業者であるメトロパシフィック インベストメンツ(MPIC)、フィリピン最古かつ最大級のコングロマリット(複合企業)であるアヤラ コーポレーション傘下のAC インフラストラクチャー・ホールディングス、グローバルに金融サービスを提供するMacquarie グループの3社であった。ここに、住友商事が加わったのである。