賭博公社、カジノ早期再開承認を要請

3月央から休業続くIRの業績悪化

2020/06/04

 新型コロナ感染拡大やその対策としての地域隔離措置のもとで、カジノは、2020年3月15日以降、営業を全面的に停止している。

 地域隔離措置は徐々に解除され、マニラ首都圏内も6月1日以降は「一般的なコミュニティー隔離措置(GCQ)」へと緩和された。外出・移動の制限がかなり緩和され、ショッピングモールも、娯楽分野以外の商業活動が認められるようになった。しかし、カジノなどアミューズメント・ゲーム施設、フィットネス施設、子供向けサービスや観光等の第4種産業は依然営業・操業が禁じられている。

 こうした中、マニラ・ベイ地区で展開している統合型リゾート(IR)企業の第1四半期(1月~3月)の決算が出揃ったがいずれも業績が悪化している。

 まず、「オカダ・マニラ」を運営するタイガーリゾート・レジャー&エンターテインメント社(TRLEI)の今第1四半期のカジノ総収入は9%減の86億3,600万ペソだった。調整後EBITDAは30%減の10億6,900万ペソであった。特に、3月のカジノ収入は54%減の15億1,500万ペソ。調整後EBITDAは2億4,800万ペソの損失となった。

 一方、「ソレア」の総収入は10.3%減の122億ペソ、顧客への払い戻しなどを差し引いたカジノ純収入は12.2%減の76億ペソにとどまった。宿泊・飲食・小売り等の非カジノ収入と併せた純営業収入は12%減の93億ペソであった。純利益は39.8%減の14億6,092万ペソ、EBITDAは22.9%減の35億7,018万ペソとなった。

 また、「シティ・オブ・ドリームス マニラ」の営業収入は22.5%減の1億1,030万米ドル(約55億6,000万ペソ)、調整後EBITDAは51%減の2,960万米ドル(約15億ペソ)であった。

 また、カジノ・ゲーミング事業を管轄するフィリピン・アミューズメント&ゲーミング・コーポレーション(PAGCOR=賭博公社)も新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた。カジノ総収入は5.7%減の172億2,200万ペソにとどまった。国庫納付や事業税支払後の純カジノ収入は8.5%減の88億7,000万ペソであった。一方、費用は微減の80億9,000万ペソとなった。これらの結果、純利益は49.8%減の7億7,744万ペソとほぼ半減となった。

 カジノ休業の影響は、第1四半期については3月後半からの半月間であるが、第2四半期は期初から2カ月以上に亘っている。今後も、再開の時期の目途は立っておらず、更なる業界の業績悪化が懸念される。こうした状況下、PAGCORは、カジノの休業長期化は、業界のみならず、経済全体への悪影響も大きく、政府への配当・納付金にも支障が生じるとして、新型コロナ対策委員会に対して、カジノの早期再開承認を要請した。