比セブン6月末2,930店で断トツも4億ペソの赤字に

上半期売上11%減の241億ペソ、第2四半期31%減収

2020/08/10

 フィリピンのコンビニエンスストア(コンビニ)首位の比セブン-イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが52.216%(2020年6月末現在)を所有するフィリピン・セブン社 (PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、1998年2月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。1984年2月にケソン市エドサ通り沿いに1号店オープン、その後、店舗網拡充に注力、2013年末に1,000店の大台を突破、2019年末には2,864店に達した。

 2019年6月末の店舗数は2,930店に達し、前年同月末の2,664店から266店、率にして10%増加した。2019年末からは66店、率にして2%の増加となっている。そして、ミニストップ(2020年6月末511店)やファミリーマート(同推定75店)、ローソン(同推定65店)などとの差を拡大させている。

 6月末のセブン-イレブンの店舗数2,930店の地域別内訳は、ルソン地域2,222店(うちマニラ首都圏1,019店)、セブを中心とするビサヤ地域425店、ダバオを中心とするミンダナオ地域283店。また自営店が45%、フランチャイズ店が55%となっている。
 
 このように、比セブン-イレブンの営業基盤、競争力は強固であるが、2020年は新型コロナウイルス感染拡大やそれに伴う地域隔離措置の影響を被っている。地域隔離措置のもとでもコンビニエンスストアは常に営業継続を要請されているが、来店客数の減少に加え、移動制限により、従業員の出勤に支障が生じ臨時休業に追い込まれた店舗もある。したがって、2020年上半期は減収赤字決算を強いられた。ただし、一時は30%に達した臨時休業店比率は、6月末に10%弱、7月末には5%へと低下、業績底打ちが期待される状況である。

 PSCは、8月6日、PSE回覧第05571-2020号にて、2020年上半期(1月~6月)の決算速報を開示した。それによると、PSCの2020年上半期のグループ全売上高は前年同期比(以下同様)10.9%減の240億6,800万ペソにとどまった。最終損益は3億8,970万ペソの赤字となり、前年同期の4億8,530万ペソの黒字から激変した。特に第2四半期は、グループ売上高が31.4%減の99億2,030万ペソ、最終損益が4億9,350万ペソへと大幅悪化した。

 当面は、新型コロナウイルス感染拡大下で需要が増加している生活必需品の販売を強化するとともに、デジタル化を推進、更なるキャッシュレス化を目指す。2020年当初計画では、年間で400店を新規オープン、新規出店を中心とする設備投資額は40億ペソと予定されていた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大により、年間新規出店数は200店、設備投資額は20億ペソへと下方修正された。ただし、新型コロナウイルス感染拡大が続けば、さらに下方修正される可能性はあるし、閉鎖店舗数が増加する可能性もある。設備投資計画は依然流動的といえる。


 フィリピンのセブン-イレブン店舗数(年末)とPSC年間純利益推移(単位:百万ペソ)
時期 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年上半期 
店舗数 551 689 829 1,009 1,282 1,602 1,995 2.285 2,550 2,864 2,930 
純利益 276.9 356.3 465.2 682.6 873.3 1008.3 1175.5 1317.9 1531.8 1988.6 -389.7
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成、19年の純利益は旧会計基準ベース)

 主な日本ブランドのコンビニ店舗数(年末・月末値、比セブン-イレブンやファミリーマートは資本的には非日系)

年・月 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年
3月 6月 9月 12月 3月  6月
セブン-イレブン 1,282 1,602 1,995 2,285 2,550 2,593 2,664 2,726 2,864 2,916 2,930 
ミニストップ 454 519 499 496 499 512 518 508 506 511 511 
ファミリーマート 87 120 99 66 69 69 73 76 76 76 75 
ローソン 0 16 29 31 38 39 45 55 60 65 65 
(出所:各社資料より作成、ミニストップとファミリーマートは日本側発表数値、セブン-イレブンとローソンはウェブ等から推計)