PSE上場の小売企業、上半期は業態によって明暗

ピュアゴールド20%増益、百貨店やコンビニ苦戦

2020/08/20

 フィリピン証券取引所(PSE)上場の小売企業の2020年上半期(1月~6月)事業報告書提出がほぼ出揃った。

 2020年上半期は、新型コロナウイルス感染拡大やその対策としての地域隔離措置のもとでのモール等の一時閉鎖や営業時間短縮などの影響を大きく受けた。ただ、そのなかでも、食料品や生活必需品の店舗や売場は営業継続を要請される一方、百貨店などは営業一時停止を余儀なくされた。したがって、業態によって大きく明暗を分けた。

 食料品や必需品の比率が高く営業規制の影響がほとんどなかったピュアゴールド・プライスクラブ(ピュアゴールド)の売上高は前年同期比15.1%増の820億ペソ、純利益は20.1%増の34億ペソと二桁増収増益決算となった。PSE中小新興企業(SME)ボードに6月15日新規上場されたメリーマート・コンシューマーコープ(メリーマート)の収入も35.3%増の16億4,000万ペソ、純利益は23.9%増の1,367万ペソと二桁の増収増益になった。

 一方、百貨店や贅沢品・非生活必需品比率の高い企業は、一時休業を余儀なくされ、苦戦という結果となった。ルスタンで知られるSSI、メトロリテールストアーズグループ(メトロリテール)は赤字を余儀なくされた。業界最大手のSMリテールの売上高も17.9%減の1,391億ペソ、純利益は90.8%減の5億2,200万ペソと大幅減益となった。

 コンビニエンスストアは、地域隔離措置下でも営業継続を要請された業態ではあるが、移動の制限で従業員出勤や配送面での困難さという問題で一時休業を余儀なくされる店舗が出たこと、店内での飲食禁止などが響き厳しい決算となった。業界断トツのセブン-イレブンを展開するフィリピン・セブンも、一時休業店比率が最高で30%に達したこともあって、売上高は12.2%減の223億ペソ、最終損益は3億9,000万ペソの赤字に転落した。


 PSE上場の小売企業とSMリテールの2020年上半期業績比較(単位:百万ペソ、純利益は帰属ではなく総純利益)
企業名 純収入 増収率 純利益 増益率 純利益率
ピュアゴールド プライスクラブ 81.994 15.1% 3,397 20.1% 4.1%
ロビンソンズ リテール ホールディングス 74,963 15.0% 1,763 -12.6% 2.4%
メトロ リテールストアーズ グループ 15,234 -8.2% -85 赤字転落 -0.5%
ウイルコン デポ 9,040  -23.2% 352  -64.5%  3.9%
オールホーム  4,854  -4.0% 276 -36.5%  5.7% 
SSIグループ 5,021 -49.0% -476 赤字転落 -9.5%
メリーマート・コンシューマー 1,642   35.3% 14 23.9% 0.8%
フィリピン・セブン(比セブン-イレブン) 22,267 -12.2% -390 赤字転落 -1.8%
SMリテール(親会社SMICが上場) 139,065 -17.9% 522 -90.8% 0.3%
(出所:各社の2020年上半期事業報告書などより作成)