ADB、今年の比成長率予測を-7.3%へと下方修正
ASEANでタイの-8%に次ぐ悪化率、来年は+6.5%へ
2020/09/16
アジア開発銀行(ADB)は、9月15日、主要経済報告書である「アジア経済見通し2020年改訂版」(ADOU 2020)を発表した。
ADB駐日代表事務所によると、ADOU 2020において、2020年のアジア開発途上国の国内総生産(GDP)成長率がマイナス0.7%と予測されており、1960年代初頭以降初めてマイナス成長を記録することとなる。成長率は2021年には6.8%まで回復するが、これは一つには、低迷する2020年との比較で測定されるためである。また、来年の生産高の水準が、新型コロナウイルス流行前の予測値を依然として下回ることを意味し、「V字」回復ではなく「L字」の回復となることを示している。アジア・太平洋地域経済の約4分の3は、2020年にマイナス成長になると予測されている。
新型コロナウイルス感染拡大の長期化は、今年と来年のアジア・太平洋地域の成長見通しに対して引き続き最も大きな下振れリスク要因である。このリスクを最小限にとどめるために、各国政府はこの地域のGDPのおよそ15%に相当する所得支援を柱とした政策支援パッケージなどの幅広い政策対応を行ってきたとのことである。
その他の下振れリスク要因としては、米中間の貿易や技術分野における紛争の悪化などの地政学的な緊張関係、そして新型コロナウイルス・パンデミックの長期化により悪化が懸念される財務の脆弱性などを挙げている。
中国は、経済の減速から戻りつつある数少ない国の1つであるとされている。2020年の成長率は1.8%、2021年は7.7%と予測されている。ロックダウンにより、消費や事業投資が停滞したインドでは、今年度第一四半期に過去最低となるGDP成長率マイナス23.9%を記録し、2020年度はマイナス9%に落ち込むが、2021年度にはプラス8%に回復すると予測されている。
アジア・太平洋の各地域について、今年はマイナス成長となる見通しであるが、唯一東アジア地域に関しては、2020年は1.3%の成長、そして2021年には7.0%と力強い回復が見込まれている。貿易や観光に深く依存する、特に太平洋地域や南アジア地域の国々においては、今年は二桁に上るマイナス成長に見舞われる。ADBの見通しでは、クック諸島やミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオ、サモア、トンガなど一部の太平洋地域の国々を除き、ほとんどのアジアの開発途上国が来年には成長を回復する見込みであると予測されている。
東南アジア(東ティモール含む11カ国)の成長率に関しては、2019年実績4.4%に対し、2020年はマイナス3.8%と予測されている。新型コロナウイルス封じ込め対策により国内消費や投資が影響を受け、インドネシアがマイナス1.0%、フィリピンがマイナス7.3%、タイがマイナス8.0%、マレーシアがマイナス5.0%、シンガポールがマイナス6.2%など、主要な国々がマイナスになると予測されている。そのなかでベトナムは1.8%の成長が見込まれているが、6月の予測4.1%からは大幅な下方修正となっている。東南アジア全体では2021年に5.5%成長へ回復すると予測されている。
フィリピンの成長率に関しては、2019年が6.0%と8年ぶりの低水準となったが、上記の様に、2020年はマイナス7.3%へと急悪化すると予測されている。6月時点の予測マイナス3.8%からは大幅に下方修正された。新型コロナウイルス感染の影響、特にGDPの約70%を占めるルソン全域対象の隔離措置などが響く。フィリピン経済を下支えしている海外からの送金が減少する懸念もある。経済活動正常化という前提で、2021年は6.5%へ回復すると予測されている。2021年の予測は6月時点と同水準である。また、2021年予測に関しては、フィリピン成長率がマレーシアとならび最高であり、ベトナムの6.3%を上回っている。
ADB駐日代表事務所によると、ADOU 2020において、2020年のアジア開発途上国の国内総生産(GDP)成長率がマイナス0.7%と予測されており、1960年代初頭以降初めてマイナス成長を記録することとなる。成長率は2021年には6.8%まで回復するが、これは一つには、低迷する2020年との比較で測定されるためである。また、来年の生産高の水準が、新型コロナウイルス流行前の予測値を依然として下回ることを意味し、「V字」回復ではなく「L字」の回復となることを示している。アジア・太平洋地域経済の約4分の3は、2020年にマイナス成長になると予測されている。
新型コロナウイルス感染拡大の長期化は、今年と来年のアジア・太平洋地域の成長見通しに対して引き続き最も大きな下振れリスク要因である。このリスクを最小限にとどめるために、各国政府はこの地域のGDPのおよそ15%に相当する所得支援を柱とした政策支援パッケージなどの幅広い政策対応を行ってきたとのことである。
その他の下振れリスク要因としては、米中間の貿易や技術分野における紛争の悪化などの地政学的な緊張関係、そして新型コロナウイルス・パンデミックの長期化により悪化が懸念される財務の脆弱性などを挙げている。
中国は、経済の減速から戻りつつある数少ない国の1つであるとされている。2020年の成長率は1.8%、2021年は7.7%と予測されている。ロックダウンにより、消費や事業投資が停滞したインドでは、今年度第一四半期に過去最低となるGDP成長率マイナス23.9%を記録し、2020年度はマイナス9%に落ち込むが、2021年度にはプラス8%に回復すると予測されている。
アジア・太平洋の各地域について、今年はマイナス成長となる見通しであるが、唯一東アジア地域に関しては、2020年は1.3%の成長、そして2021年には7.0%と力強い回復が見込まれている。貿易や観光に深く依存する、特に太平洋地域や南アジア地域の国々においては、今年は二桁に上るマイナス成長に見舞われる。ADBの見通しでは、クック諸島やミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオ、サモア、トンガなど一部の太平洋地域の国々を除き、ほとんどのアジアの開発途上国が来年には成長を回復する見込みであると予測されている。
東南アジア(東ティモール含む11カ国)の成長率に関しては、2019年実績4.4%に対し、2020年はマイナス3.8%と予測されている。新型コロナウイルス封じ込め対策により国内消費や投資が影響を受け、インドネシアがマイナス1.0%、フィリピンがマイナス7.3%、タイがマイナス8.0%、マレーシアがマイナス5.0%、シンガポールがマイナス6.2%など、主要な国々がマイナスになると予測されている。そのなかでベトナムは1.8%の成長が見込まれているが、6月の予測4.1%からは大幅な下方修正となっている。東南アジア全体では2021年に5.5%成長へ回復すると予測されている。
フィリピンの成長率に関しては、2019年が6.0%と8年ぶりの低水準となったが、上記の様に、2020年はマイナス7.3%へと急悪化すると予測されている。6月時点の予測マイナス3.8%からは大幅に下方修正された。新型コロナウイルス感染の影響、特にGDPの約70%を占めるルソン全域対象の隔離措置などが響く。フィリピン経済を下支えしている海外からの送金が減少する懸念もある。経済活動正常化という前提で、2021年は6.5%へ回復すると予測されている。2021年の予測は6月時点と同水準である。また、2021年予測に関しては、フィリピン成長率がマレーシアとならび最高であり、ベトナムの6.3%を上回っている。