企業景況感、第3四半期-5.3%で11年ぶりマイナス

消費者信頼感-54.5%で過去最悪:中央銀行調査

2020/09/25

 <2020年第3四半期の消費者信頼感指数>
 フィリピン中央銀行(BSP)の調査によると、2020年第3四半期(7月~9月)の全国消費者信頼感指数(CI)は-54.5%で、2007年に調査開始して以来、過去最低となった。回答者の2020年第3四半期に対する否定的な感情は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに起因している。なお、第2四半期の調査は、COVID-19によるコミュニティー隔離措置が全国的実施されたことで、中止となった。
 
 2020年第4四半期(2020年10月~12月)の消費者信頼感指数(CI)は全国ベースで-4.1%で、第1四半期の次四半期見通し(+9.2%)からマイナスに転落した。回答者は、COVID-19への懸念とは別に、失業率の上昇、所得収入の減少、第4四半期に対する悲観的な見方による物価急上昇の予想をネガティブな要因として挙げている。

 一方、今後12カ月(2021年第3四半期)に対して、CIは+25.5%と上昇し、2020年第1四半期時点での同調査の+19.9%より楽観的になっている。これはCOVID-19パンデミックの終息し事態が正常化との期待がある。

 2020年第3四半期のCIを地域別でみると、首都圏が-57.9%、地方は-53.9%。所得層別で見ると、所得3万ペソ以上のグループは-38.5%、1万~3万ペソ未満のグループは-56.1%、1万ペソ未満のグループは-60.9%。
 
 中央銀行消費者信頼感指数は、フィリピンの1)経済情勢、2)家計状況、3)家計所得の3指標から成る平均的信頼感指数であり、景気見通しなどが「良くなった」などとする消費者の割合から「悪くなった」などとする消費者の割合を差し引いた値として示される。
 
 1) 経済情勢:全国 -62.2%、首都圏 -67.6%、地方 -61.4%
 2) 家計状況:全国 -51.7%、首都圏 -53.2%、地方 -51.4%
 3) 家計所得:全国 -49.6%、首都圏 -52.9%、地方 -49.0%

 消費者信頼感指数は、消費者の景気に対するマインド(信頼感)を指数化したものである。今回の調査実施時期は2020年7月1日~7月14日。フィリピン統計庁(PSA)の世帯調査マスターサンプル一覧に基づき選定された全国5,563世帯(首都圏2,835世帯、地方2,728世帯)を対象として、実施された。回答率は97.8%(5,441世帯)。回答者のうち所得1万ペソ未満のグループが全体の38.1%、1万~3万ペソ未満のグループが37.1%、3万ペソ以上のグループが24.8%だった。

<2020年第3四半期の消費者信頼感指数>
フィリピン中央銀行(BSP)の企業調査によると、2020年第3四半期(7月~9月)のマクロ経済に関する総合景況感指数(CI)は-5.3%で、2009年第2四半期以来44四半期ぶりにマイナスへ転落した。なお、2020年第2四半期の調査は、COVID-19によるコミュニティー隔離措置が全国的実施されたことで、中止となった。

 回答企業は、景況感が弱気となった主な理由として、1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックとそれによる地域隔離政策の影響、2)受注・販売・収益の減少、3)ビジネス活動の鈍化/一時停止、4)COVID-19の影響に対抗するに不十分とみられる緩和策など政府の政策に対する懸念等を挙げている。

 次期(2020年4月~6月)に関しては、総合景況感指数(CI)は+16.8%にとどまり、2020年第1四半期時点での次期見通し(+42.3%)から弱気となった。今後12カ月(2021年第3四半期)に対しては+37.5%で、2020年第1四半期時点での+55.8%から低下した。

 2020年第3四半期の景況感指数(CI)を地域別で見ると、首都圏が-6.9%(2020年第1四半期:+23.2%)、地方は-1.6%(同+20.4%)。

 業種別では、鉱工業セクターが+2.9%(同+14.8%)、建設セクターが+4.5%(同+33.8%)、卸売・小売セクターが-8.7%(同+22.3%)、サービスセクターが-9.6%(同+24.5%)。

 サービスセクターでは、金融仲介業が-5.7%(同+33.2%)、ホテル・レストランは-9.3%(同+21.0%)、ビジネス活動は-4.7%(同+23.1%)、不動産は-5.1%(同+28.0%)、コミュニティー・社会サービス-19.9%(同+18.4%)、輸送は-28.4%(同+10.7%)。

 景況感指数(CI)は景気動向に関して良いという回答から悪いという回答を差し引いたもので、ゼロが中立となる。今回の聞き取り調査期間は2020年7月8日~9月10日、調査対象はビジネス情報の大手出版社Bureau van Dijik(BvD)の2016年の総資産に基づいた上位7,000社から選出された全国16地域の1,517社(首都圏586社、地方931社)で、回答率はフィリピン全体で64.7%と前回調査時の72.5%を下回った。首都圏の回答率は65.5%、地方が64.2%。

 回答者を業種別で見ると、内需産業(69.1%)、輸出入企業(10.8%)、輸入企業(9.5%)、輸出企業(5.6%)。回答者の約5%は業種を明記しなかった。規模別では大企業(従業員500人超)が13.7%、中企業(従業員100-499人)が30.8%、小企業(従業員100人以下)が40.8%、その他14.7%の割合だった。