常石造船、セブの事業基盤更に拡充

アボイティスとの西部セブ工業団地拡張へ

2020/11/04

 アボイティスグループと日本のツネイシ・ホールディングスとの合弁企業であるセブ・インダストリアルパーク・デベロッパーズ社(CIPDI)が運営するウエストセブ インダストリアルパーク(WCIP、所在地セブ州バランバン町)は、今後3年間で30ヘクタール拡張すると表明した。

 1992年に創設されたWCIPは283ヘクタール、フィリピン経済区(PEZA)認定の工業団地である。現在、常石造船のフィリピン現地法人であるツネイシヘビーインダストリーズ(セブ){セブ常石造船、以下:THI}グループ会社など11社が入居、就業者数は約1万4千人。セブ地域の工業用スペースに対する需要の高まりに対応すべく拡張することを決定した。

 なお、1917年に創業し、2017年に創業100周年を迎えた常石造船は、第二次世界大戦後の混乱と復興期を乗り越え、日本が世界に誇る造船大国となる一翼を担ってきた。1994年には、円高により日本の経済環境が厳しさを増す中、フィリピンへの進出に活路を見出し、現地法人と工場を設立した後、1997年にフィリピン共和国建国以来初の大型鋼船を建造した。その後、中国、パラグアイへと更なる海外展開を進めている。

 フィリピン現地法人のTHIは、WCIPの立地するセブ島西部のバランバン町に1994年設立された。設立当時、日本の造船業界では海外進出の成功事例が極めて少なかったなか、1997年5月に第1隻目の2万3,000トン型ばら積み貨物船を竣工して以来、約18年後の2015年でフィリピンで累計200隻超えを達成した。THIの建造実績の拡大は、フィリピンにおける造船業成長の一助となり、フィリピンは2010年、竣工量で世界第4位になった。

 THIは常石グループとフィリピンのアボイティス・グループとの合弁会社である。3万トン級から18万トン級のばら積み貨物船を中心に、年間約20隻を建造し、従業員数は協力会社を含め1万人を超えるフィリピン有数の造船所となっている。

 THIはフィリピン経済特区庁(PEZA)より、輸出事業におけるフィリピン経済の成長への貢献や、地域の発展に貢献するCSR活動で功績を認められ、 優秀輸出企業賞と優秀地域プロジェクト企業賞などを2004年からこれまで10回以上に渡って受賞している