明日第3四半期GDP発表、推定コンセンサス-9.2%

前期の‐16.5%(速報値)からは回復傾向との見方

2020/11/09

 フィリピン統計庁(PSA)によると、11月10日(火)午前10時より、Zoomビデオ会議を通じて、2020年第3四半期(7月~9月)の国内総生産(GDP)など国民勘定統計が発表される。カール・ケンドリック・チュア国家経済開発庁(NEDA)長官代行とデニス・マパ国家統計官・市民登録局長が発表、解説する。

 8月6日に発表された2020年第2四半期(4月~6月)の国内総生産(GDP)実質成長率(2018年基準、以下同様)はマイナス16.5%となり、現行方式での集計が開始された1981年以降で最低となった。また、2020年上半期ではマイナス9.0%だった。
  
 今第3四半期もマイナス成長であったとの見方が支配的であるが、マイナス幅は一桁台にとどまったとの見方が増えている。

 現地有力経済紙であるビジネスワールド紙が先週実施した19名の民間エコノミストのGDP成長率直前推定集計によると、2020年第3四半期のGDP成長率推定中央値(コンセンサス)が-9.2%、最高が-5.0%、最低が-11.2%となっている。いずれにしても、前年同期の+6.3%からは大幅悪化したが、前期(2020年第2四半期)の-16.5%よりはマイナス幅がかなり縮小したと見られる。

 なお、PSAは、今年4月、GDPなど国民勘定統計の基準年度をそれまでの2000年から2018年へと変更すると発表した。フィリピンの2000年基準(旧基準)は長らく変更されておらず、インドネシア、ベトナム、マレーシアの2010年基準、ラオスの2012年基準などと比べ古さが目立つことから、変更されることになった。2020年第1四半期のGDP統計などの発表から、2018年基準(新基準)となった。

 これに伴い、2000年から2019年までの年間及び四半期毎の産業別、支出別GDP成長率などが、新基準ベースで見直され、改訂が行われた。2001年から2019年までの19年間のGDP平均年間成長率は、旧基準の5.4%に対し新基準では5.5%となる。19年間で最高となった2010年の成長率は、旧基準では7.6%であったが、新基準では7.3%へと下方改訂された。一方、最低成長率はリーマン・ショック直後の2009年に記録されたが、旧基準での1.1%が新基準では1.4%へと上方改訂された。

 フィリピンのGDP実質成長率の推移(単位:%)
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
2018年基準 5.3 6.5 4.3 1.4 7.3 3.9 6.9 6.8 6.3 6.3 7.1 6.9 6.3 6.0
2000年基準 5.2 6.6 4.2 1.1 7.6 3.7 6.7 7.1 6.1 6.1 6.9 6.7 6.2 5.9
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)