太平洋セメント、300億円で比生産能力4割増強

セブ工場に環境保全型新ライン、年産300万トンに

2020/11/11

 太平洋セメント(本社:東京都文京区)は、11月10日、「連結100%子会社であるタイヘイヨウセメント フィリピンズ(TCPI社、本社:セブ州サンフェルナンド町、資本金21億8,000万ペソ)における最新鋭の生産ラインへの更新により生産能力を増強することを決定した」と発表した。

 その発表によると、フィリピンでは好調な経済成長に伴う建設投資の増加等により、セメント需要は堅調に推移している。2015年から2019年までの5年間で年間セメント需要は約30%増加し、3,200万トンに達したと推定される。2020年の需要は、新型コロナウイルス感染拡大等の影響により一時的に縮小するが、2021年は、政府の大規模インフラ投資計画「ビルド・ビルド・ビルド」等により、セメント需要は再び上昇に転じると見込まれる。

 TCPI社では今後も旺盛なセメント需要に応えるため、太平洋セメントグループがこれまで培ってきた技術や経験を最大限に活かし、世界的にも最先端の技術を採用した最新鋭の生産ラインを導入する。新ライン導入の総投資額とし300億円程度を見込んでおり、セメント生産能力を現行比40%増の年間約300万トンに増強する。また、将来、年間販売量500万トン、販売シェア10%以上を目指していく。

 なお、新生産ラインはエネルギー効率が高く、従来に比べてエネルギー由来のCO2排出原単位を10%以上削減することが可能となる。また新生産ラインでは強度発現性の高いクリンカを生産することが可能となり、セメント製造に使用するクリンカ比率を削減することでさらなるCO2排出原単位の削減も期待できる。

 太平洋セメントグループでは「CSR目標2025」や「2050年を展望した温室効果ガス排出削減に係る長期ビジョン」に掲げる通り、温室効果ガス排出抑制を重要な課題と位置付けている。引き続きグループの総合力を発揮し、経済の発展のみならず環境負荷の低減に積極的に注力することで、環太平洋において社会に安全と安心を提供する企業集団を目指す方針である。