続報:比トヨタ、コロナ禍でも21億ペソの利益

9カ月間で72%減、売上高48%減の633億ペソ

2020/11/18

 大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)の11月17日発表の2020年年初9カ月事業報告書によると、株式51%を保有するトヨタモーター・フィリピン(TMP)の当年初9カ月の卸売ベースの販売台数は前年同期比(以下同様)49.8%減の5万8,984台にとどまった。小売ベースの販売台数も44.6%減少したが、その減少率は業界全体の45.8%を下回った。その結果、TMPの2020年9月末時点の市場シェアは39.2%と引き続き高水準、前年の38.4%から更に上昇した。

 1月央のタール火山噴火、新型コロナ感染拡大やその対策としての3月央からの地域隔離措置が大きく影響した。その中での販売上位車種はサブ・コンパクトセダン「ヴィオス」、バン「ハイエース」、ピックアップトラック「ハイラックス」、多目的車「イノーバ」、ミニハッチバック「Wigo」であった。
 
 これらの結果、当年初9カ月の売上高は47.9%減の632億5,100万ペソ、粗利益は45.7%減の83億4,700万ペソとなった。粗利益率は13.2%で前年同期の12.7%から上昇。営業利益は73.0%減の26億9,700万ペソ、帰属純利益は71.5%減の20億8,800万ペソへと急減した。新型コロナ感染症(COVID-19)パンデミックによる地域隔離措置の影響で、非常に厳しい環境の中な、約21億ペソの純利益を出したことは注目に値する。

 2020年9月30日時点の総資産は442億3,000万ペソ、2019年末の387億5,000万ペソから14.1%増加した。株主資本は86億8,400万ペソ(2019年末156億0,800万ペソ)。
 
 2020年9月現在、TMPは7つの直営販売店を有している。これらは、トヨタ・マカティ+1支店(トヨタ・ビクータン)、トヨタ・サンフェルナンド(パンパンガ州)+2支店(トヨタ・ブラカン、トヨタ・タルラック)、レクサス・マニラ(BGC)、トヨタ・サンタロサ(ラグーナ州)。
 
 なお、TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTキャピタル(GTCAP)51%となっている。現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し昨年10周年を迎えた「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。

 トヨタモーター・フィリピン年初9カ月の業績比較(単位:百万ペソ、20年は速報値)
19年9カ月間 20年9カ月間 伸び率
売上高 121,376 63,251 -47.9%
粗利益 15,379 8,347 -45.7%
営業利益 9,989 2,697 -73.0%
帰属純利益 7,337 2,088 -71.5%
(出所:GTキャピタル事業報告書などより作成)

 トヨタモーター・フィリピン年間の業績等の推移(単位:百万ペソ)
13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 19年伸率
売上高 80,677 104,887 114,289 155,833 185,337 158,941 168,616 6.1%
粗利益 10,257 14,629 18,299 21,072 23,059 16,620 21,143 27.2%
営業利益 5,719 9,859 13,910 15,669 16,798 10,255 12,786 24.7%
帰属純利益 4,219 7,209 10,195 11,929 13,186 7,882 9,082 15.2%
総資産 23,750 26,681 32,278 36,003 42,158 36,428 38,751 6.4%
株主資本 9,286 11,923 15,228 17,492 19,148 15,238 15,608 2.4%
(出所:GTキャピタル事業報告書・年次報告書などより作成)