比ビール市場世界15位に、19年まで世界最高の成長率

18年8.8%増、19年5.1%増、20年は新型コロナ等の大逆風

2020/12/24

  キリンホールディングス(本社:東京都中野区、社長 磯崎功典氏)は、インターネット上の仮想大学「キリンビール大学」(https://www.kirin.co.jp/entertainment/daigaku/)を運営している。これは、ビールの楽しさ・奥深さを消費者に伝えるために2001年7月に開講したもので、美味しいビールの飲み方から、ビールに関する興味深いうんちくまで様々な学部・施設で400以上の豊富な講義提供、パソコンでもスマホでも、365日24時間好きな時に好きなだけビールについて学習できる。

 今回は、世界各国のビール協会などに対して独自に実施したアンケート調査と最新の海外資料に基づき計170の世界主要国および各地域において、2019年のビール消費量をまとめ、12月23日にその結果を発表した。この調査は1975年分から統計を開始している。それによると、2019年の世界の総消費量は前年比(以下同様)0.5%増の約1億8,905万キロリットル(633ミリリットルの大瓶換算で約2,987億本)となった。東京ドームをジョッキに見立てると約152杯分に相当する。

 地域別では、北米、オセアニア、中東が減少したがその他の地域は増加した。アジアのシェアは33.0%で12年連続の1位となった。フィリピン(5.1%増)、ベトナム(3.4%増)、インド(3.1%増)などが牽引したことで、中国のマイナス成長をカバー、アジア全体では0.7%増の6,232万キロリットルと小幅ながら増加となった。アフリカは5.2%増の1,473万キロリットルで9年連続で増加した。

 国別では、中国が17年連続で1位となったものの、消費需要が成熟し市場が飽和した影響を受けて0.4%減の3,922万キロリットル(シェア20.7%)と連続減少。2位は米国の2,392万キロリットル(シェア12.7%)。以下、3位ブラジル、4位メキシコ、5位ロシア、6位ドイツ、7位日本、8位英国、9位ベトナム、10位スペインと続く。日本は1.4%減の487万キロリットル(シェア2.6%)で13年連続の7位となった。
 上位25カ国の前年比増加率では、フィリピンの5.1%増が最大、2位はコロンビアと南アフリカの5.0%増、3位はメキシコの3.8%増、4位はベトナムの3.4%増、5位はインドの3.1%増、6位はタイの3.0%増であった。

 2019年の国別一人当たりビール消費量は、チェコが189リットル(633ミリリットルの大瓶換算で298本)で27年連続の1位となった。2位はオーストリア(170本)、3位はルーマニア(159本)、4位はドイツ(156本)、5位はポーランド(154本)、6位はナミビア(151本)、7位はアイルランド(147本)などと、断トツのチェコを筆頭に欧州勢が上位を占めている。日本は54位(61本)であった。

 フィリピンについては、上記のとおり、2019年の消費量が5.1%増の227万キロリットルと好調、上位25カ国のうちで最大の伸びを見せた。2017年は13.8%増でタイの15.8%増に次ぐ第2位の伸び、2018年は8.8%増で最大の伸びとなっており、近年の好調ぶりが際立っている。2019年の国別シェアは1.2%、国別順位は15位、2016年24位、2017年19位、2018年16位と上昇傾向を辿っている。2019年については、後半に農産物価格の低下、豚コレラ、地震、台風等のマイナス要因もあったが、持続的な経済成長による所得環境の改善など外部環境に支えられ、年間を通して堅調に推移した。

 ちなみに、手許の過去データによると、フィリピンは、1990年代は消費量上位25カ国常連であり、20位台前半まで上昇する時期もあった。2000年代に入ると順位が低下傾向となり、2008年に国別消費量第25位にランクされたのを最後に2015年まで25カ国番付圏外が続いてきたが、2016年は久々に25カ国番付にランクイン(24位)、2017年は一気に19位まで上昇、2018年、2019年は一段と上昇した。

 ただし、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ビール需要は世界的に不振であったと見られる。フィリピンでは、新型コロナウイルス感染拡大やそれに伴う地域隔離措置の影響に加え、酒税増税、マニラ首都圏に近いタール火山の噴火、台風連続上陸など多くのマイナス要因が重なり、ビール消費量は大幅減少している。90%以上という圧倒的シェアを占めるサンミゲル ブリュワリー(SMB、サンミゲルビール)の年初9カ月間のビール国内販売数量は前年同期比39%減少している。