比銀行業界の不良債権比率、11月末3.81%に悪化

コロナで1年前の2.19%から急上昇、現行基準で最悪に

2021/01/12

 フィリピン中央銀行(BSP)の速報データによると、2020年11月のフィリピン銀行業界の総融資残高(10兆6,251億ペソ)に占める総不良債権(元利回収遅延債権)比率(NPL比率)は3.81%で前年同月(2.19%)及び前月(3.72%)から悪化。3カ月連続で3%台となった。そして、現行基準を導入した2013年以降の最悪比率へと上昇、新型コロナウイルス感染拡大の影響顕在化を反映する結果となっている。不良債権(NPL)貸倒引当率は87.16%、前月(88.03%)、前年同月(91.51%)から縮小した。

 総資産に占める不良資産(NPA=元利回収遅延融資+担保権行使による取得不動産等)比率は2.67%で、前月(2.65%)、前年同月(1.90%)から悪化。一方、不良資産(NPA)貸倒引当率は74.33%と前月(74.85%)から低下したが、前年同月(70.90%)からは上昇した。2020年6月末の自己資本比率(CAR)は16.40%で、3月末及び前年末を上回った。

 フィリピン銀行業界の不良債権・不良資産比率など(月末値、単位:%)
項目 2020年11月 2020年10月 2019年11月
総融資に占める総不良債権(NPL)比率 3.81 3.72 2.19
不良債権(NPL)貸倒引当比率 87.16 88.03 91.51
総融資残高貸倒引当比率 3.32 3.28 2.01
総資産に占める不良資産(NPA)比率 2.67 2.65 1.90
不良資産(NPA)貸倒引当比率 74.33 74.85 70.90
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成、20年11月は速報値)

 フィリピン銀行業界の不良債権(元利回収遅延債権=NPL)比率などの推移(単位:億ペソ、比率%)
年月 総融資残高 NPL残高 貸倒引当残高 対総融資NPL比率 NPL貸倒引当比率 総融資残高貸倒引当比率
13年末 48,970 1,355 1,609 2.77 118.69 3.29
14年末 58,324 1,348 1,616 2.31 119.83 2.77
15年末 65,273 1,365 1,616 2.09 118.42 2.48
16年末 76,121 1,442 1,728 1.89 119.89 2.27
17年末 88,656 1,530 1,843 1.73 120.44 2.08
18年末 100,779 1,778 1,871 1.76 105.22 1.86
19年末 109,661 2,241 2,075 2.04 92.59 1.89
20/1月 108,889 2,350 2,152 2.16 91.58 1.98
2月 109,109 2,399 2,188 2.20 91.20 2.01
3月 110,927 2,492 2,276 2.25 91.35 2.05
4月 109,193 2,520 2,387 2.31 94.72 2.19
5月 107,994 2,620 2,549 2.43 97.31 2.36
6月 108,188 2,778 3,029 2.57 109.04 2.80
7月 108,504 2,928 3,221 2.70 110.01 2.97
8月 107,476 3,050 3,274 2.84 107.35 3.05
9月 106,788 3,743 3,390 3.51 90.58 3.17
10月 106,103 3,951 3,478 3.72 88.03 3.28
11月 106,251 4,047 3,527 3.81 87.16 3.32
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)

 フィリピン銀行業界の自己資本比率(CAR、単位:%)

2019年 2020年
6月末 9月末 12月末 3月末 6月末
単独 単独 単独 単独 単独
15.53 15.81 15.61 15.54 16.40
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)