比銀行業界、2020年末の不良債権比率3.61%に

前年末の2.04%から急悪化、11月末の3.78%からは低下

2021/02/09

 フィリピン中央銀行(BSP)の速報データによると、2020年12月のフィリピン銀行業界の総融資残高(10兆8,628億ペソ)に占める総不良債権(元利回収遅延債権)比率(NPL比率)は、新型コロナウイルス禍で3.61%と前年同月(2.04%)から悪化したが、前月(3.78%)からは改善した。4カ月連続の3%台。不良債権(NPL)貸倒引当率は93.73%、前月(87.94%)、前年同月(92.59%)から上昇した。

 総資産に占める不良資産(NPA=元利回収遅延融資+担保権行使による取得不動産等)比率は2.56%と前年同月(1.82%)から悪化したが、前月(2.66%)からは改善した。一方、不良資産(NPA)貸倒引当率は78.95%と、前月(74.83%)、前年同月(70.29%)から上昇した。

 その一方、各銀行は自己資本の拡充を図りつつある。2020年9月末のリスク資産に対する自己資本比率(自己資本比率(CAR)は16.87%で、前年同月末の15.81%から上昇、2013年9月(17.61%)以来7年ぶりの高水準となった。

 フィリピン銀行業界の不良債権・不良資産比率など(月末値、単位:%)
項目 2020年12月 2020年11月 2019年12月
総融資に占める総不良債権(NPL)比率 3.61 3.78 2.04
不良債権(NPL)貸倒引当比率 93.73 87.94 92.59
総融資残高貸倒引当比率 3.38 3.32 1.89
総資産に占める不良資産(NPA)比率 2.56 2.66 1.82
不良資産(NPA)貸倒引当比率 78.95 74.83 70.29
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成、2020年11月、12月は速報値)

 フィリピン銀行業界の不良債権(元利回収遅延債権=NPL)比率などの推移(単位:億ペソ、比率%)

年月 総融資残高 NPL残高 貸倒引当残高 対総融資NPL比率 NPL貸倒引当比率 総融資残高貸倒引当比率
13年末 48,970 1,355 1,609 2.77 118.69 3.29
14年末 58,324 1,348 1,616 2.31 119.83 2.77
15年末 65,273 1,365 1,616 2.09 118.42 2.48
16年末 76,121 1,442 1,728 1.89 119.89 2.27
17年末 88,656 1,530 1,843 1.73 120.44 2.08
18年末 100,779 1,778 1,871 1.76 105.22 1.86
19年末 109,661 2,241 2,075 2.04 92.59 1.89
20/1月 108,889 2,350 2,152 2.16 91.58 1.98
2月 109,109 2,399 2,188 2.20 91.20 2.01
3月 110,927 2,492 2,276 2.25 91.35 2.05
4月 109,193 2,520 2,387 2.31 94.72 2.19
5月 107,994 2,620 2,549 2.43 97.31 2.36
6月 108,188 2,778 3,029 2.57 109.04 2.80
7月 108,504 2,928 3,221 2.70 110.01 2.97
8月 107,476 3,050 3,274 2.84 107.35 3.05
9月 106,752 3,707 3,390 3.47 91.45 3.18
10月 106,067 3,914 3,477 3.69 88.83 3.28
11月 106,215 4,011 3,527 3.78 87.94 3.32
12月 108,628 3,917 3,671 3.61 93.73 3.38
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成、注:9月~12月は速報値)

 フィリピン銀行業界の自己資本比率(CAR、単位:%)
2019年 2020年
9月末 12月末 3月末 6月末 9月末
単独 単独 単独 単独 単独
15.81 15.61 15.54 16.40 16.87
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)