アヤラランド、2020年の純利益74%減の87億ペソ

新型コロナで11年連続の最高益ならず、後半回復基調

2021/02/25

 フィリピン最大級の不動産企業であるアヤラランド(証券コード:ALI)は、2月24日、2020年(1月~12月)の決算速報を発表した。

 ALIは、2019年まで10年連続での最高益更新を続けてきたが、2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大やその対策としての地域隔離の影響を大きく受け、大幅減収減益となった。ただし、年後半にかけて復調の兆しを見せている。

 2020年の総収入は前年比(以下同様)43%減の963億ペソ、帰属純利益は74%減の87億ペソと大幅な減収減益になった。しかし、第4四半期(10月~12月)は、防疫措置の緩和とともに復調基調となり、収入は前期(2020年第3四半期)比49%増の330億ペソ、帰属純利益は前期比28%増の24億ペソと前期比ベースでは大幅増加した。そして、最悪期であった第2四半期の帰属純利益2億ペソからは約12倍となった。

 2020年の部門別動向に関しては、地域隔離措置による工事中断や完工遅延等もあって、不動産開発収入が43%減の665億ペソ、その予約販売額は44%減の819億ペソにとどまった。ただし、第4四半期の不動産開発収入は前期比64%増の258億ペソ、予約販売額は前期比58%増の211億ペソと復調の兆しを見せた。
 
 商業リース収入は44%減の219億ペソ。そのうちオフィス賃貸収入は比較的堅調に推移したが、ショッピングセンター賃貸収入は大幅減少した。地域隔離措置の下でのモール一時閉鎖やテナント支援のための賃貸料支払い免除・猶予などが響いた。ホテル・リゾート事業収入も外出・移動制限の影響を大きく受けた。

 2020年の設備投資額は637億ペソで、2019年の1,090億ペソから42%減少するとともに、当初予定額1,100億ペソを大幅に下回った。2021年は38%増の880億ペソへと再増加する見込み。880億ペソのうち44%が住宅事業、26%が開発用地取得、13%が地所開発、6%がモール事業、5%がオフィス事業、3%がホテル・リゾート事業に充当される予定である。

 なお、ALIの年間設備投資額は、2012年713億ペソ、2013年663億ペソ、2014年833億ペソ、2015年822億ペソ、2016年854億ペソ、2017年914億ペソ、2018年1,101億ペソ、2019年1,090億ペソと推移してきた。2020年は3年連続での1千億ペソの大台突破となるはずであったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けることになった。