1月の財政収支、141億ペソの赤字に転落

プライマリー収支黒字は61%減の330億ペソ

2021/03/18

 フィリピン財務局は3月17日、2021年1月の財政収支速報を発表した。それによると、1月は141億ペソの赤字に転落した(2020年1月は230億ペソの黒字)。歳入の11.5%減に対し、歳出が1.2%増と拡大したことによる。
 
 1月の歳入は前年同月比(以下同様)11.5%減の2,607億ペソ。そのうち税収は8.3%減の2,327億ペソ(シェア89%)だった。内訳は、内国歳入庁(BIR)が6.5%減の1,822億ペソ、関税局(BOC)は15.4%減の473億ペソ、その他税収は9.8%増の33億ペソ。また、非税収は31.4%減の280億ペソ(シェア11%)と二桁減。内訳は、財務局(BTr)が34.3%減の187億ペソ、民営化の収益と手数料などその他収入は25.0%減の94億ペソ。

 一方、1月の歳出は1.2%増の2,748億ペソと小幅増、地方自治体への交付金が増加した。歳出のうち利払い額は23.4%減の470億ペソだった。

 歳出から歳入と利払い費を除外して算出されるプライマリーバランス(PB、基礎的収支)に関しては、1月は330億ペソの黒字となったが、前年同月の845億ペソの黒字から約61%縮小した。

 なお、2020年の年間財政赤字は前年比2.1倍の1兆3,714億ペソに達し、過去最高水準となった。財政赤字対GDP比率は7.6%で、前年の3.5%から急上昇した。プライマリーバランス赤字は同3.3倍の9,910億ペソへ急増した。新型コロナ禍の影響を大きく受けた結果となったが、2021年1月も新型コロナの影響が続いたといえよう。

 財政収支動向  (単位:億ペソ)
期間 1月
2020年 2021年 伸び率
歳入 2,946 2,607 -11.51%
 税収 2,538 2,327 -8.30%
   内国歳入庁(BIR) 1,949 1,822 -6.54%
   関税局(BOC) 559 473 -15.41%
   その他 30 33 9.77%
 非税収 409 280 -31.43%
   財務局(BTr) 284 187 -34.27%
   その他 125 94 -24.97%
歳出 2,716 2,748 1.18%
   利払い 614 470 -23.43%
    その他 2,102 2,278 8.37%
財政収支 230 -141 赤字転落
プライマリーバランス 845 330 -60.97%
(出所:フィリピン財務局資料より作成、BIR、BOC:税還付分控除額)

 フィリピン財政赤字と対GDP比率推移   (単位:億ペソ)

項目 年間実績推移
11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年
財政赤字 1,978 2,428 1,641 731 1,217 3,534 3,506 5,583 6,602 13,714
対GDP比 2.0% 2.3% 1.4% 0.6% 0.9% 2.4% 2.2% 3.2% 3.5% 7.6%
(出所:フィリピン財務局資料より作成)