金利据え置き決定、25日の中央銀行金融政策会合
今年のインフレ率目標上限突破懸念も一時的と判断
2021/03/25
フィリピン中央銀行は(BSP)は、年8回の金融委員会(MB)政策会合を開催している。3月25日、2021年2回目のMB政策会合が開催された。
今回のMB政策会合では、2020年12月17日の前々回、2021年2月11日の前回に続いての3会合連続で、政策金利系の据え置きが決定された。すなわち、主要政策翌日物借入金利(RRP)2.00%を中心とする1.50%~2.50%という現行の金利コリドーが継続されることになった。この金利体系は、2016年に中央銀行が金利コリドー制を導入して以降の最低水準である。また、2020年年間の累計利下げ幅は2%であった。
2021年2月のインフレ率が4.7%と26カ月ぶりの高水準に上昇しており、MBは2021年の年間インフレ率が、2%~4%というインフレ目標の上限を突破すると予想している。しかし、現在のインフレ率上昇は、アフリカ豚コレラ(ASF)感染に端を発する豚肉を中心とする肉類価格の高騰、国際市況上昇に伴う石油製品の値上がりなど一時的な供給サイドファクターによるものであり、2022年のインフレ率は目標圏内に収斂していくとも予想している。
MBは、新型コロナ禍による経済疲弊という状況において、供給サイドファクターによる一時的なインフレ率上昇に対して利上げする必要はない、あるいは現時点で金融緩和から引き締めに転ずるのは得策でないと判断した。一方、景気刺激のための利下げの必要もないと判断したようである。2020年の大幅緩和の効果が続いているうえ、一時的にしても、2月のインフレ率がインフレ目標の上限を突破した状況下での利下げという選択もなかったようである。
ただし、新型コロナウイルス問題長期化やワクチン接種の遅れ等による景気下振れリスク、原油価格や食品価格変動等によるインフレ期待が高まる可能性もあることから、BSPは、常に物価と景気動向を注視し、必要な場合は、機動的に金融政策を動員する方針である。
インフレ率(2012年基準)推移とインフレ目標の推移
(出所:フィリピン国家統計庁と中央銀行資料より作成、2021年と2022年予想は中央銀行の3月25日時点の予想)
今回のMB政策会合では、2020年12月17日の前々回、2021年2月11日の前回に続いての3会合連続で、政策金利系の据え置きが決定された。すなわち、主要政策翌日物借入金利(RRP)2.00%を中心とする1.50%~2.50%という現行の金利コリドーが継続されることになった。この金利体系は、2016年に中央銀行が金利コリドー制を導入して以降の最低水準である。また、2020年年間の累計利下げ幅は2%であった。
2021年2月のインフレ率が4.7%と26カ月ぶりの高水準に上昇しており、MBは2021年の年間インフレ率が、2%~4%というインフレ目標の上限を突破すると予想している。しかし、現在のインフレ率上昇は、アフリカ豚コレラ(ASF)感染に端を発する豚肉を中心とする肉類価格の高騰、国際市況上昇に伴う石油製品の値上がりなど一時的な供給サイドファクターによるものであり、2022年のインフレ率は目標圏内に収斂していくとも予想している。
MBは、新型コロナ禍による経済疲弊という状況において、供給サイドファクターによる一時的なインフレ率上昇に対して利上げする必要はない、あるいは現時点で金融緩和から引き締めに転ずるのは得策でないと判断した。一方、景気刺激のための利下げの必要もないと判断したようである。2020年の大幅緩和の効果が続いているうえ、一時的にしても、2月のインフレ率がインフレ目標の上限を突破した状況下での利下げという選択もなかったようである。
ただし、新型コロナウイルス問題長期化やワクチン接種の遅れ等による景気下振れリスク、原油価格や食品価格変動等によるインフレ期待が高まる可能性もあることから、BSPは、常に物価と景気動向を注視し、必要な場合は、機動的に金融政策を動員する方針である。
インフレ率(2012年基準)推移とインフレ目標の推移
年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年予 | 2022年予 |
インフレ率実績 | 0.7% | 1.3% | 2.9% | 5.2% | 2.5% | 2.6% | 4.2% | 2.8% |
インフレ目標 | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% |