中央銀行、今年のインフレ率予想4.2%へ上方修正
3年ぶりの目標上限突破懸念、来年2.8%に減速と予想
2021/03/26
2021年2月のインフレ率が4.7%と26カ月ぶりの高水準に上昇している状況下で、フィリピン中央銀行(BSP)は、インフレ率予想を上方修正した。
BSPは、3月25日、2021年の年間平均インフレ率を4.2%へと変更した。これは、今年2月の予想4.0%から0.2%ポイントの上方修正である。2022年については、2.8%と予想、同じく2.7%から0.1%ポイントの上方修正である。すなわち、2021年は2%~4%というインフレ目標の上限を3年ぶりに突破、2018年の5.2%以来の高水準に達すると見ている。しかし、2022年はインフレ目標内に収斂すると見ている。
インフレ予想の前提条件の一つであるドバイ原油平均価格については、2021年が1バレル当たり61.37米ドル、2022年が51.90米ドルと想定されている。中央銀行は、最近のインフレ率上昇は、原油価格上昇など供給サイドファクターによる一時的なものであり、現時点では、利上げの必要はないとして、3月25日開催の金融委員会政策会合において、金利据え置きを決定した。
2020年の年間の平均インフレ率は2.6%で、政府の2020年インフレ目標圏内(2%~4%)に収まり、2年連続でのインフレ目標達成となった。フィリピンのインフレ目標は、2015年以降、3.0%±1.0%(2.0%~4.0%)が継続されてきている。下表のとおり、2015年は0.7%、2016年は1.3%とインフレ目標の下限以下にとどまり、目標未達成となった。2017年は2.9%で目標を達成したが、2018年は5.2%と急上昇、インフレ目標の上限を大きく上回ってしまった。上記のように、2019年と2020年は2年連続で目標達成となったが、この6年間の目標達成率は50%にとどまっている。そして、2021年は目標未達成の懸念がある。
先頃開発予算調整委員会(DBCC)は、フィリピン中央銀行(BSP)と協議して、既に設定されている2021~22年のインフレ目標3.0%±1.0%(2.0%~4.0%)を維持することを承認した。そして、2023~24年のインフレ目標についても、3.0%±1.0%(2.0%~4.0%)とすることを承認した。DBCCは政府の経済関係部署の横断機関であり、マクロ経済目標決定の役割を担っている。インフレ目標は中央銀行金融委員会の方針に沿って、DBCCが最終決定することになっている。
フィリピンでは、金融政策を導く基本的枠組みとして、インフレ目標が2002年から正式に導入された。インフレ目標が比較的シンプルな枠組みであり国民にも分かりやすい、中央銀行の重要使命である物価安定に集中しやすい、インフレ目標を発表しそれを基準とした金融政策を履行することは金融政策に関する透明性や国民からの信頼性を高めるなどから、フィリピン政府はインフレ目標導入に踏み切ったのである。
なお、インフレ率予想(Forecast)とインフレ目標(Target)が混同されることが多いが、両者は異なるものである。予想は単純な見通しであり環境が変化すればその都度変更されるものである。インフレ目標(Target)は金融政策の基本的枠組みであり、それを基準として各種政策が決定されるものであり、頻繁に変更されるものではない。
インフレ率(2012年基準)推移とインフレ目標の推移
(出所:フィリピン国家統計庁と中央銀行資料より作成、2021年と2022年予想は中央銀行の3月25日時点の予想)
BSPは、3月25日、2021年の年間平均インフレ率を4.2%へと変更した。これは、今年2月の予想4.0%から0.2%ポイントの上方修正である。2022年については、2.8%と予想、同じく2.7%から0.1%ポイントの上方修正である。すなわち、2021年は2%~4%というインフレ目標の上限を3年ぶりに突破、2018年の5.2%以来の高水準に達すると見ている。しかし、2022年はインフレ目標内に収斂すると見ている。
インフレ予想の前提条件の一つであるドバイ原油平均価格については、2021年が1バレル当たり61.37米ドル、2022年が51.90米ドルと想定されている。中央銀行は、最近のインフレ率上昇は、原油価格上昇など供給サイドファクターによる一時的なものであり、現時点では、利上げの必要はないとして、3月25日開催の金融委員会政策会合において、金利据え置きを決定した。
2020年の年間の平均インフレ率は2.6%で、政府の2020年インフレ目標圏内(2%~4%)に収まり、2年連続でのインフレ目標達成となった。フィリピンのインフレ目標は、2015年以降、3.0%±1.0%(2.0%~4.0%)が継続されてきている。下表のとおり、2015年は0.7%、2016年は1.3%とインフレ目標の下限以下にとどまり、目標未達成となった。2017年は2.9%で目標を達成したが、2018年は5.2%と急上昇、インフレ目標の上限を大きく上回ってしまった。上記のように、2019年と2020年は2年連続で目標達成となったが、この6年間の目標達成率は50%にとどまっている。そして、2021年は目標未達成の懸念がある。
先頃開発予算調整委員会(DBCC)は、フィリピン中央銀行(BSP)と協議して、既に設定されている2021~22年のインフレ目標3.0%±1.0%(2.0%~4.0%)を維持することを承認した。そして、2023~24年のインフレ目標についても、3.0%±1.0%(2.0%~4.0%)とすることを承認した。DBCCは政府の経済関係部署の横断機関であり、マクロ経済目標決定の役割を担っている。インフレ目標は中央銀行金融委員会の方針に沿って、DBCCが最終決定することになっている。
フィリピンでは、金融政策を導く基本的枠組みとして、インフレ目標が2002年から正式に導入された。インフレ目標が比較的シンプルな枠組みであり国民にも分かりやすい、中央銀行の重要使命である物価安定に集中しやすい、インフレ目標を発表しそれを基準とした金融政策を履行することは金融政策に関する透明性や国民からの信頼性を高めるなどから、フィリピン政府はインフレ目標導入に踏み切ったのである。
なお、インフレ率予想(Forecast)とインフレ目標(Target)が混同されることが多いが、両者は異なるものである。予想は単純な見通しであり環境が変化すればその都度変更されるものである。インフレ目標(Target)は金融政策の基本的枠組みであり、それを基準として各種政策が決定されるものであり、頻繁に変更されるものではない。
インフレ率(2012年基準)推移とインフレ目標の推移
年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年予 | 2022年予 |
インフレ率実績 | 0.7% | 1.3% | 2.9% | 5.2% | 2.5% | 2.6% | 4.2% | 2.8% |
インフレ目標 | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% |