パックウェルが比で紙器製造、中国から生産移管

北ダバオ州アンフロ工業団地で、JBIC等が協調融資

2021/03/28

 国際協力銀行(JBIC)は、3月26日、「パックウェル(本社:東京都葛飾区)との間で、融資金額1億6,550万円(JBIC分)の貸付契約を締結した」と発表した。

 この融資は、足利銀行との協調融資により実施され、協調融資総額は2億3,750万円である。パックウェルのフィリピン法人NP. CHANGS INC.(NPCI)が実施する紙器・紙工品製造・販売事業に必要な資金を融資するものである。

 パックウェルは、主に各種紙器及び紙製パッケージ等紙工品の製造・販売を行う中堅企業である。パックウェルはNPCIを通じて高品質製品の増産体制を確保し、国内外市場への紙工品の供給強化を企図している。今回の融資は、こうしたパックウェルの海外事業展開への支援を通じて、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するものである。

 JBICは今後も、日本の公的金融機関として、地域金融機関との連携等を通じ、中堅・中小企業を含む日本企業の海外事業展開を金融面から支援していく方針である。

 パックウェルは、2019年にダバオ市に設立した子会社NPチェンジズ社を通じて、ミンダナオ島拠点のフロイレンド財閥傘下の不動産企業ダモサランドの運営する北ダバオ州パナド市に立地するアンフロ工業団地(AIE)の1.6ヘクタールの土地に紙器・紙工品製造工場を建設することを決定した。2019年4月、東京において、パックウェルとダモサランドとの間で、この工場(バナド工場)建設に関する合意書が署名された。パックウェルはAIEへの11番目の進出企業となった。

 そして、2019年12月19日、アンフロ工業団地において、パックウェルの紙器・紙工品工場の建設地鎮祭が開催され、パックウェル社、NPチェンジズ社、ダモサランド、アンフロ工業団地、パナド市の関係者などが参列した。その時点でこの工場は2020年第2四半期までに操業開始する予定であると表明されている。また、従業員数は、日本や中国の各々100名の2倍にあたる200名を予定しているとのことである。

 なお、パックウェルは1957年設立、資本金は7,000万円、従業員数は正社員52名(2016年1月現在)パート社員70名(季節により増減)。国内製造拠点は東京都の足立工場と埼玉県の八潮工場である。海外での製造拠点は、中国の日東紙工(上海)有限公司となっている。この中国での製造コストが急騰していることが、北ダバオ州での工場建設の大きな要因となっている。中国での生産を徐々にフィリピンに移管、将来的には中国からフィリピンへの全面移管を視野に入れているとのことである。