比トヨタ自動車、2020年の純利益63%減の33億ペソ

コロナ禍で売上41%減の998億ペソ、7年ぶりの大台割れ

2021/03/30

 大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、PSE証券コード:MBT)グループの持株会社GTキャピタル ホールディングス(PSE証券コード:GTCAP)の3月29日発表の情報報告書に、GTCAPが株式51%を保有するトヨタモーター フィリピン(TMP)の2020年の業績動向(速報)が掲載されている。

 それによると、1月央のタール火山噴火、新型コロナ感染拡大やその対策としての3月央からの地域隔離措置などにより、TMPの卸売ベースの販売台数は前年比(以下同様)40.1%減の9万7,863台にとどまった。小売ベースの販売台数も38.3%減の10万0,019台にとどまったが、その減少率は業界全体の40.1%を下回った。その結果、TMPの2020年の市場シェアは41.3%と引き続き断トツ、前年の39.5%から更に上昇した。

 そして、19年連続でのフィリピン自動車市場の三冠王(総販売台数、商用車販売台数、乗用車販売台数いずれもトップ)を達成した。個別モデル販売ランキングにおいても上位を独占している。2020年は、9つの主要セグメントで首位、個別販売ランキングでも上位6モデルを独占している。(ヴィオス、ハイラックス、ウイゴー、イノーバ―、ハイエース、ラッシュ)

 新型コロナウイルス禍による販売台数大幅減少により、2020年の売上高は40.1%減の998億4,680万ペソで、7年ぶりに1,000億ペソの大台割れとなった。粗利益は38.4%減の130億2,200万ペソ、帰属純利益は63.4%減の33億0,600万ペソへと大幅減少した。新型コロナパンデミックや地域隔離措置など非常に厳しい環境の中、33億ペソの帰属純利益を計上したことは注目に値する。また、上半期(1月~6月)の帰属純利益は77%減の9億9,400万ペソであり、下半期は回復傾向となった。

 トヨタモーター・フィリピン年間の業績等の推移(単位:百万ペソ、2020年は速報値)
14年 15年 16年 17年 18年 19年  20年 20年伸率
売上高 104,887 114,289 155,833 185,337 158,941 168,616 99,847 -40.8%
粗利益 14,629 18,299 21,072 23,059 16,620 21,143 13,022 -38.4%
営業利益 9,859 13,910 15,669 16,798 10,255 12,786 4,546 -64.4%
帰属純利益 7,209 10,195 11,929 13,186 7,882 9,082  3,306 -63.4%
総資産 26,681 32,278 36,003 42,158 36,428 38,751 45,396 17.1%
株主資本 11,923 15,228 17,492 19,148 15,238 15,608  9,502 -39.2%
(出所:GTキャピタル年次報告書、インフォメーションステートメントなどより作成)

 2020年末現在、TMPは71の販売店を有している。そのうち、7つが自社保有販売店である。これらは、トヨタ・マカティ+1支店(トヨタ・ビクータン)、トヨタ・サンフェルナンド(パンパンガ州)+2支店(トヨタ・ブラカン、トヨタ・タルラック)、レクサス・マニラ(BGC)、トヨタ・サンタロサ(ラグーナ州)。
 
 なお、TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTキャピタル(GTCAP)51%となっている。現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し一昨年10周年を迎えた「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。