日本の水素企業HTIと比エネルギー省、協力覚書

比でのクリーンエネルギー利用・普及に向けて

2021/04/09

 フィリピンエネルギー省(DOE)は、4月8日、「クリーンエネルギーとして注目されている水素の利用や普及に関して、日本企業と協力することで合意、覚書(MOU)に署名した」と発表した。

 DOEのアルフォンソ・クシ大臣と、日本のHydrogen Technology Inc. (HTI、本社:東京都中央区八重洲)の山本泰弘代表取締役社長は、4月7日、発電用燃料などとしての水素の利用を検討・普及するためのMOUに署名した。署名式はバーチャル形式にて実施された。

 なお、HTIの設立は2014年、資本金は3,000万円。事業内容は、1.水素ガス生成装置の設計、製造、2.水素ガスの販売、3.水素ガス発電並びに電力の販売、4.水素ガス全般のコンサルティング業務、5.燃料電池の設計、開発、製造とされている。化石燃料を一切使用しないで、水から高純度の水素を大量に生成する完全CO2フリーの技術を開発、世界の水素社会実現に向け貢献する方針である。

 クシ大臣は、「フィリピンのエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーのシェアを拡大する必要がある。今回のHTIとの協力合意はクリーンエネルギー普及を加速させ、フィリピン国民に恩恵を与えることになろう」とコメントした。そして、新型コロナウイルス感染拡大にともなう外国人入国規制のなかでも、MOUにより、HTIのフィリピンでの水素技術に関するR&D活動は容易になり、制限を受けることはなくなるとコメントした。

 今回のMOUは、フィリピンのエネルギーミックスに水素を含めるというクシ大臣のビジョンに沿って、水素エネルギーに関するR&Dを強化するためにDOEが署名した2021年の2番目のMOUである。今年1月、DOEは、オーストラリアのスター サイエンティフィック社と提携することで合意、提携覚書に署名した。スター サイエンティフィック社は、水素エネルギー放出オプティマイザー(HERO)技術で知られている。DOEとの覚書により、フィリピン政府とスター サイエンティフィック社は、水素発電の使用がフィリピンのエネルギー自給達成、二酸化炭素排出量削減にどのように寄与するかなどの調査・実証で協働することとなった。

 フィリピンでは、発電における石炭および石油という化石燃料依存度が依然高く、その化石燃料は輸入に依存しており、エネルギー自給率向上のために再生可能エネルギーへの期待が高まっている。また、電化率の低い離島への対応や、台風等の自然災害リスクへの軽減策も求められている。HTIなどとの協働により、フィリピンでの再生可能エネルギーの導入加速化や地方電化率向上を目指す。