比セブン、20年は4億ペソの赤字(前年14億ペソの黒字)

コロナ禍で収入17%減の440億ペソ、店舗数2,978店で断トツ

2021/04/19

 フィリピンのコンビニエンスストア(コンビニ)首位の比セブン-イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーンストア(ラブアン)ホールディングスが52.22 %(2020年12月末現在)を所有するフィリピン セブン社(PSC、証券コード:SEVN)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、1998年2月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。1984年2月にケソン市エドサ通り沿いに1号店オープン、その後、店舗網拡充に注力、2010年に500店、2013年に1,000店、2017年に2,000店を突破、2019年末には2,864店に達した。

 4月16 日に公表されたPSCの2020年(1月~12月)年次報告書によると、比セブン-イレブンの2020年末の店舗数は2,978店に達し、前年末の2,864店から114店、率にして4%増加した。2020年9月末の2,930店からは48店、率にして1.6%の増加となっている。そして、比ミニストップ(476店)や比ローソン(推定65店)などとの差を拡大させている。

 2020年末のセブン-イレブンの店舗数2,978店の地域別内訳は、ルソン地域2,261店(うちマニラ首都圏1,010店)、セブを中心とするビサヤ地域432店、ダバオを中心とするミンダナオ地域285店。また自営店が45%、フランチャイズ店が55%となっている。
 
 このように、比セブン-イレブンの営業基盤、競争力は強固であるが、2020年は新型コロナウイルス感染拡大やそれに伴う地域隔離措置の影響を被っている。地域隔離措置のもとでもコンビニエンスストアは常に営業継続を要請されているが、来店客数の減少に加え、移動制限により従業員の出勤に支障が生じ臨時休業に追い込まれた店舗もある。したがって、2020年は減収赤字決算を強いられた。ただし、一時は30%に達した臨時休業店比率は、6月末に10%弱、9月末には5%以下へと低下、業績も年後半に回復基調となった。

 PSCの2020年のグループ全売上高は前年比(以下同様)17.7%減の464億ペソ、営業収入は17.2%減の440億ペソにとどまった。最終損益は4億1,970万ペソの赤字となり、前年の14億4,460万ペソの黒字から激変した。特に厳格な地域隔離措置の影響が本格顕在化した第2四半期は4億9,350万ペソの赤字へと急悪化した。第3四半期も赤字が続いたが赤字額は1億9,562万ペソへと縮小、第4四半期は1億6,560万ペソの黒字に転換した。

 なお、セブン銀行のフィリピン子会社Pito AxM Platform社(PAPI、本社:マカティ市)が、比セブン-イレブンの店舗でのATM設置を開始、2021年2月26日、ATM運営事業を開始した。既に、150店以上の店舗にATMが設置されている。フィリピン国内では初の紙幣還流型ATM設置により、比セブン-イレブンは利便性の高い新たなサービス提供が可能になったといえる。


 フィリピンのセブン-イレブン店舗数(年末)とPSC年間純利益推移(単位:百万ペソ)
時期 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年
店舗数 551 689 829 1,009 1,282 1,602 1,995 2.285 2,550 2,864 2,978
純利益 276.9 356.3 465.2 682.6 873.3 1,008.3 1,175.5 1,317.9 1,531.8 1,444.6 -420
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)

 主な日本ブランドのコンビニ店舗数(年末・月末値、比セブン-イレブンやファミリーマートは資本的には非日系)

年・月 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年
3月  6月 9月   12月
セブン-イレブン 1,282 1,602 1,995 2,285 2,550 2,864 2,916 2,930  2,960  2.978 
ミニストップ 454 519 499 496 499 506 511 511  481  472 
ファミリーマート 87 120 99 66 69 76 76 N.A.  N.A.  N.A.
ローソン 0 16 29 31 38 60 65 65  65  65 
(出所:セブン-イレブンとミニストップは発表数値、ファミリーマートはウェブでの表示数、ローソンはウェブ等から推計)