日清食品の比即席麺事業堅調、第1四半期7%増収

巣籠り需要謳歌も外食規制緩和後は伸び悩み傾向

2021/05/04

 日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ・ファミーリーの有力食品企業ユニバーサル ロビーナ(証券コード:URC)との合弁企業「ニッシン ユニバーサル ロビーナ(ニッシンURC、1996年設立、会計期末12月、本社:マニラ首都圏ケソン市)を通じて即席麺(インスタントラーメン)事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。

 このニッシンURCの業績が堅調に推移している。URCの年次報告書によると、ニッシンURCの2020年(1月~12月)の売上高は前年比(以下同様)17%増の74億0,600万ペソ、純利益は25%増の8億9,300万ペソとなった。表1のように、フィリピンにおけるカップ麺需要の拡大を背景に近年は増収増益が続いてきているが、2020年は新型コロナウイルス感染対策としての地域隔離措置の下での外出・移動制限措置や外食事業規制(店内飲食禁止、持ち帰りと配達のみ)のもとでの家庭内食事(内食)需要や保存食需要、すなわち巣籠り需要が加わったことで、業績向上に拍車がかかった。

 そして、4月30日に発表されたURCの2021年第1四半期(1月~3月)事業報告書によると、表2のように、ニッシンURCの2021年第1四半期の売上高は前年同期比(以下同様)7%増の19億2,400万ペソ、EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は1%減の3億8,700万ペソ、純利益は4%減の2億3,000万ペソで増収小幅減益決算となった。

 比較となる前年同期が保存食・巣篭り需要急増で17%増収31%増益と絶好調であり、それとの比較ではやや伸び悩んだが、依然高水準の利益を確保したといえる。ただ、厳しい地域隔離措置が講じられた2020年3月央から5月央までは巣籠り需要が業績に大きく寄与したが、同措置が徐々に緩和され条件付きながら外食企業での店内飲食が可能になった以降は、巣篭り需要効果がやや稀薄化したともいえる。

 なお、フィリピンでの袋麺のトップ企業は、「ラッキーミー」ブランドで知られるモンデ ニッシンである。社名には「ニッシン」が含まれており紛らわしいが、モンデ ニッシンは現地資本企業であり、日清食品など日本企業との資本関係は全くない。モンデ ニッシンは、2021年6月7日にフィリピン証券取引所(PSE)メインボードに新規上場予定である。

 表1.ニッシンURCの年間業績推移(単位:百万ペソ)
項目 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年  前年比
売上高 4,361 5,103 5,815 6,345 7,406 +17% 
EBITDA 777 890 975 1,156 1,472 +27% 
純利益 475 559 603 717 893 +25% 
総資産 2,281 2,686 2,583 2,583 3,377 +20% 
(出所:URC年次報告書から作成)

 表2.ニッシンURCの第1四半期業績比較(単位:百万ペソ)
項目 17年1Q 18年1Q 19年1Q 20年1Q 21年1Q  前年同期比
売上高 1,256 1,448 1,535 1,797 1,924 +7% 
EBITDA 252 274 298 389 387 -1% 
純利益 160 175 183 239 230 -4% 
総資産 2,159 2,854 2,737 3,291 3,788 +15% 
(出所:URC第1四半期始業報告書から作成)