ワイヤーハーネスのリーデン、フィリピン進出

バタンガス州リマ工業団地へ:貿易産業省発表

2021/05/02

 貿易産業省(DTI)は、4月30日、日本のワイヤーハーネス企業である株式会社リーデン(本社:東京都台東区東上野)がバタンガス州のリマ工業団地(リマ・テクノロジー・センター)に進出すると発表した。リマ工業団地の開発主体であるリマランド社(LLI)が、昨年末、リーデンのリマ工業団地進出の動きを伝えていたが、今回DTIが正式にリーデンのフィリピン進出方針を発表した。

 リマランド社やDTIの発表によると、建設機械・産業機械向けワイヤーハーネス製品の製造販売を手掛けるリーデンは、2021年第3四半期までにフィリピン現地法人を設立する。そして、2021年末までにリマ工業団地において1.7ヘクタールの建設機械・産業機械等向けワイヤーハーネス製造工場の建設着工、2022年第1四半期中に生産を開始する予定である。

 この工場は150人の雇用を創出すると見込まれており、年間1,200万米ドルのワイヤーハーネスを米国などへ輸出する計画である。リーデンにとっては、中国、インドネシア、米国に次ぐ4番目の海外製造拠点となる。

 リマ工業団地はフィリピン政府が重点工業地域と指定しているカラバルソン・エリアのほぼ中心バタンガス州に位置し、マニラ首都圏とバタンガス港を結ぶ高速道路に近接する将来性豊かな地域に位置している。工業団地を核とした商業施設・住宅開発を併せ持つ「総合都市開発」をコンセプトとし、96年に着工、現在有力日系企業中心に124社以上の企業が入居・操業中である。そして、約5万5,000人が就労している。開発主体であるリマランド社は現在、アボイティス財閥のアボイティス エクイティ ベンチャーズ(AEV)傘下のアボイティスランド社によって100%保有されている。丸紅がリマ工業団地の運営・販売を支援している。

 フィリピンの2020年の自動車用ワイヤーハーネス(車両用等配線セット)の輸出額は18億8,585億ドルで輸出上位品目となっている。輸出の半分が日本向けとのことである。フィリピンでワイヤーハーネス(比自動車用も含む)を製造している日系企業は住友電装、古河電工(古河AS)、矢崎総業、日本航空電子、平河ヒューテック、バンダイ株式会社、オークウェーブホールディングス、タイセイなどである。

 最近の増産の動きとしては、2020年、住友電装がルソン島北部のパンガシナン州のノースルソン・エアロインダストリアルパーク(NAIP)にて、ワイヤーハーネスの新工場の建設に着工(投資額4,600万米ドル)したと報じられている。新規進出としては、車両用アンテナなど車載用通信機器の大手ヨコオ(本社:東京都北区滝野川)は、2020年8月24日、「フィリピンに子会社を設立」と発表している。