20年のインフラ関連産業不振、建設大手2社赤字転落

老舗のD.M.コンスンヒ88%減益、セメント大幅減収減益

2021/05/05

 大手建設企業の2020年業績発表が出揃った。新型コロナウイルス感染拡大やその対策としての地域隔離措置にともなう各種工事の遅延、建設作業の制約、新型コロナウイルス対策費や従業員支援負担などで、各社の業績が大幅に悪化した。

 コンスンヒ財閥の旗艦企業であるDMCIホールディングス(証券コード:DMC)傘下の老舗建設企業であるD.M.コンスンヒ(非上場、親会社のDMCがPSE上場)の2020年の収入は前年比(以下同様)10.4%減の164億ペソ、帰属純利益は88%減の1億0,600万ペソへと急減した。2020年末の受注残高は前年末比14%減の587億ペソへと減少した。

 SM財閥傘下の有力建設企業であるメガワイド(証券コード:MWIDE)の2020年の収入は34.5%減の131億ペソにとどまった。大幅減収効果にくわえ、空港事業に関連する減価償却費及び資金調達費用負担などにより、帰属純損益は3億9,800万ペソの赤字となり、前年の8億5,900万ペソの黒字から悪化した。2020年末の受注残高は684億ペソ。
 
 ユーチェンコ財閥傘下の有力建設企業であるEEI(証券コード:EEI)の2020年の収入は41.1%減の139億ペソへと急減した(詳細別掲)。主力の建設事業収入が41%減の129億ペソと不振であった。大幅減収効果に加えて、新型コロナウイルス対応費用負担等により、帰属純損益は20億0,400万ペソの大幅赤字となり、前年の11億5,600万ペソの黒字から急悪化した。2020年末の受注残高は604億ペソ。
 
 なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴う景気低迷、建設工事中断や遅延に伴うセメント需要鈍化により、世界最大のセメント企業であるラファージュホルシムのフィリピン拠点であるホルシム フィリピン、メキシコの世界的セメント企業セメックスのフィリピン拠点であるセメックス ホールディングス フィリピン、サンミゲルのラモン・アン社長が会長を務めるイーグルセメントというPSE上場3社ともに、下表のように大幅減収減益決算となった。

 主要建設企業の2020年決算動向(単位:百万ペソ)
企業名 収入 伸び率 帰属純利益 伸び率  前年帰属純利益  受注残高
D.M.コンスンヒ 16,400 -10.4% 106 -88.0% 906 58,700 
EEI   13,881 -41.1% -2,040  赤字転落  1,156 60,400 
メガワイド 13,148 -34.5% -398 赤字転落 859 68,400 
(出所:各社の年次報告書などより作成)  

 上場セメント企業の2020年決算動向(単位:百万ペソ、イーグルセメントは速報値)
企業名 収入 伸び率 純利益 伸び率  純利益率
ホルシム フィリピン 26,015 -22.3% 2,064 -42.5% 7.9%
セメックス フィリピン 19,707 -16.5% 985 -23.0% 5.0%
イーグルセメント 13,900  -30.0% 3,400 -44.0%  24.5%
(出所:各社の年次報告書や決算速報などより作成)