サンミゲル、第1四半期の純利益16倍の172億ペソ

サンミゲルビールの純利益、45%増の55億ペソ

2021/05/07

 フィリピンを代表するコングロマリットとなったサンミゲル(証券コード:SMC)が、5月6日、2021年第1四半期(1月~3月)の決算速報を発表した。
 
 2021年第1四半期の純収入は前年同期比(以下同様)6%減の2,012億ペソ、営業利益は175%増の322億ペソ、純利益(帰属ベースではない総純利益、以下同様)は1,471%増(約15.7倍)の172億ペソと大幅増益決算となった。EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は52%増の410億ペソであった。前年は3月に入ってからの新型コロナ感染拡大加速やその対策としての厳格な地域隔離措置により不振であった。地域隔離措置が徐々に緩和された第3四半期以降は回復に転じ、今第1四半期は回復ピッチが強まったといえる。新型コロナ感染再増加など依然厳しい環境が続いているなかでの回復ぶりが注目される。
 
 SMCグループの食品と飲料事業が大統合して発足した「サンミゲルフーズ&ビバレッジ(証券コード:FB)」の純売上高は11%増の764億ペソ、営業利益は45%増の126億ペソ、純利益は66%増の97億ペソであった。FBの食品部門(サンミゲルフーズ)の純売上高は9%増の362億ペソ、営業利益は75%増の45億ペソ、純利益は107%増の34億ペソであった。
 
 ビール製造子会社サンミゲル ブリュワリー(SMB、サンミゲルビール)の純売上高は2%増の288億ペソ、営業利益は25%増の68億ペソ、純利益は45%増の55億ペソと増収増益となった。飲食店での定員規制、一時的な店内飲食禁止など依然マイナス要因も多く、販売数量の本格回復には至っていないが、非常に不振であった前年同期からは回復している。サンミゲルビールには、キリン ホールディングス(キリン)が約48%出資している。

 一方、洋酒のヒネブラサンミゲルの純売上高は52%増の113億ペソ、営業利益は88%増の13億ペソ、純利益は120%増の10億ペソと依然好調であった。引き続き、巣籠り需要の寄与という要素もある。
 
 パッケージ部門(サンミゲル山村パッケージング)の売上高は13%減の74億ペソ、営業利益は31%減の4億ペソと減収減益であった。前年は医薬品業界向けが好調、酒類・飲料業界向けが低調であった。今第1四半期もその傾向が続いたようである。
 
 多角化事業の一つである電力事業の純収入は3%減の274億ペソ、営業利益は8%増の84億ペソ、純利益は141%増の78億ペソであった。サンミゲルの電力事業は、2010年第3四半期から持株会社SMCグローバル・パワー・ホールディングスのもとに集約されている。
 
 石油製品部門(元売り最大手のペトロン)の総販売量は21%減の1,938万バレルに減少し、収入は20%減の833億ペソにとどまった。しかし、コスト低減などで、純損益は17億ペソの黒字となり、前年同期の49億ペソの赤字から改善した。
 
 インフラ事業担当のSMCインフラストラクチャーの純収入は7%減の43億ペソ、営業利益は33%減の12億ペソと依然低調であった。引き続き、外出・移動制限により運営している有料道路の交通量伸び悩み、インフラ工事遅延などが響いた。
 
 更なる多角化や事業基盤拡大の過程で有利子負債が膨張し、2021年3月末時点で9,130億ペソに達し、2020年末の9,080億ペソから0.6%増加している。一方、現金残高も3,370億ペソと高水準。総資産は1兆8,970億ペソで、2020年末の1兆9,120億ペソから0.8%減少している。総負債対自己資本比率は1.95倍(2020年末1.92倍)、有利子負債対自己資本比率は1.42倍(同1.39倍)、純負債対自己資本比率は0.76倍(同0.71倍)となっている。