比銀行業界、3月末の不良債権比率4.21%に悪化

現行基準導入以降の最悪比率を連続で更新

2021/05/11

 フィリピン中央銀行(BSP)の速報データによると、2021年3月のフィリピン銀行業界の総融資残高(10兆6,584億ペソ)に占める総不良債権(元利回収遅延債権)比率(NPL比率)は4.21%と前月(4.08%)及び前年同月(2.25%)から悪化、2カ月連続で4%台となった。不良債権(NPL)貸倒引当率は83.09%で、前月(86.64%)及び前年同月(91.35%)から低下した。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済悪化の影響で、NPL比率は、2020年末に3.61%と前年同月末の2.04%から急悪化、年末ベースで現行基準導入以降の最悪比率へと上昇した。そして、2021年1月末3.72%、2月末4.08%、3月末4.21%と更に悪化している。

 一方、3月末の総資産に占める不良資産(NPA=元利回収遅延融資+担保権行使による取得不動産等)比率は2.85%で、前月(2.77%)及び前年同月(1.95%)から悪化した。一方、不良資産(NPA)貸倒引当率は71.86%で前月(74.47%)から低下したが、前年同月(71.11%)からは上昇した。

 フィリピン銀行業界の不良債権・不良資産比率など(月末値、単位:%)
項目 2020年3月 2021年2月 2021年3月
総融資に占める総不良債権(NPL)比率 2.25 4.08 4.21
NPL貸倒引当比率 91.35 86.64 83.09
総融資残高貸倒引当比率 2.05 3.53 3.50
総資産に占める不良資産(NPA)比率 1.95 2.77 2.85
不良資産(NPA)貸倒引当比率 71.11 74.47 71.86
(出所:BSP資料より作成、2021年3月は速報値)

 フィリピン銀行業界の不良債権(元利回収遅延債権=NPL)比率などの推移(単位:億ペソ、比率%)

年月 総融資残高 NPL残高 貸倒引当残高 対総融資NPL比率 NPL貸倒引当比率 総融資残高貸倒引当比率
13年末 48,970 1,355 1,609 2.77 118.69 3.29
14年末 58,324 1,348 1,616 2.31 119.83 2.77
15年末 65,273 1,365 1,616 2.09 118.42 2.48
16年末 76,121 1,442 1,728 1.89 119.89 2.27
17年末 88,656 1,530 1,843 1.73 120.44 2.08
18年末 100,779 1,778 1,871 1.76 105.22 1.86
19年末 109,661 2,241 2,075 2.04 92.59 1.89
20年末 108,628 3,917 3,671 3.61 93.73 3.38
21/1月 106,185 3,955 3,712 3.72 93.86 3.50
2月 105,793 4,313 3,736 4.08 86.64 3.53
3月 106,584 4,486 3,727 4.21 83.09 3.50
(出所:BSP資料より作成)

 フィリピン銀行業界の自己資本比率(CAR、単位:%)

2019年 2020年
9月末 12月末 3月末 6月末 9月末 12月末
単独 単独 単独 単独 単独 単独
15.81 15.61 15.54 16.40 16.87 16.72
(出所:BSP資料より作成)