比トヨタ、第1四半期の純利益39%増の20億ペソ

売上18%増の339億ペソ、市場シェア44%(前年36%)

2021/05/18

 大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、証券コード:MBT)グループの持株会社GTキャピタル ホールディングス(証券コード:GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。GTCAPは、トヨタ自動車の製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ マニラベイ(TMBC)の58.05%を保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ ファイナンシャルサービス フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。

 これらのトヨタ関連各社は各々存在感を強めている。特に、TMPの強さが際立っている。新車販売シェアは断トツであり、2020年まで19年連続でフィリピン自動車市場の三冠王(総販売台数、商用車販売台数、乗用車販売台数いずれもトップ)となっている。個別モデル販売ランキングにおいても、常に上位を独占している。

 5月18日発表のGTCAPの2021年第1四半期(1月~3月)事業報告書によると、TMPの2021年第1四半期の卸売ベースの販売台数は前年同期比(以下同様)31%増の3万3,574台、小売ベースの販売台数も28.8%増の3万3,095台へと二桁増加した。業界全体では5.5%増の7万4,585台と小幅増にとどまったことから、TMPの市場シェアは44.4%に達し、前年同期の36.3%から大幅上昇、断トツの座をさらに強固なものとした。
 
 これらの結果、TMPの売上高は17.9%増の339億ペソ、粗利益は12.4%増の42億ペソ、帰属純利益は39%増の20億ペソに達した。依然、新型コロナウイルス感染再拡大、2月の輸入車に対するセーフガード暫定措置発動などマイナス要因も少なくないが、地域隔離措置の緩和傾向、市場シェアの更なる拡大等により二桁増収増益となった。

 トヨタモーター・フィリピンの第1四半期業績比較 (単位:百万ペソ、21年は速報値)
20年第1四半期 21年第1四半期  伸率
売上高 28,773 33,924 17.9%
粗利益 3,745  4,210 12.4%
営業利益 1,982  2,287 15.4%
帰属純利益 1,431  1,988 39.0%
(出所:GTキャピタル事業報告書などより作成)

 トヨタモーター・フィリピン年間の業績等の推移(単位:百万ペソ)
14年 15年 16年 17年 18年 19年  20年 20年伸率
売上高 104,887 114,289 155,833 185,337 158,941 168,616 99,847 -40.8%
粗利益 14,629 18,299 21,072 23,059 16,620 21,143 13,022 -38.4%
営業利益 9,859 13,910 15,669 16,798 10,255 12,786 4,546 -64.4%
帰属純利益 7,209 10,195 11,929 13,186 7,882 9,082  3,306 -63.4%
総資産 26,681 32,278 36,003 42,158 36,428 38,751 45,396 17.1%
株主資本 11,923 15,228 17,492 19,148 15,238 15,608  9,502 -39.2%
(出所:GTキャピタル年次報告書より作成)

 2021年3月末現在、TMPは70以上の販売店を有している。そのうち、6店が自社保有販売店である。これらは、トヨタ・マカティ+1支店(トヨタ・ビクータン)、トヨタ・サンフェルナンド(パンパンガ州)+2支店(トヨタ・ブラカン、トヨタ・タルラック)、レクサス・マニラ(BGC)である
 
 なお、TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTキャピタル(GTCAP)51%となっている。現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し一昨年10周年を迎えた「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。