比三菱自動車、今年度販売22%増の4.5万台目標

第2の座強固、市場シェア15%超で世界最高水準

2021/05/21

 三菱自動車工業(本社:東京都港区)は、5月11日、2020年度(2020年4月~2021年3月)の決算を発表した。当然のことながら新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた結果となっている。アセアン地域の売上高は前年度比(以下同様)42%減の3,177億円、営業利益は85%減の93億円であった。

 決算発表補足資料などによると、フィリピン(ミツビシ モーターズ フィリピン、MMPC)における2020年度の販売台数(小売りベース)は、37%減の3万7千台、生産台数は46%減の1万4千台であった。販売台数は第1四半期(4月~6月)が3千台、第2四半期が1万1千台、第3四半期が1万1千台、第4四半期が1万2千台と回復傾向にある。2021年度年間販売台数は前年度比22%増の4万5千台と予想されている。
 
 なお、三菱自動車のアセアン4カ国(フィリピン、タイ、インドネシア、ベトナム)での2019年度の新車販売シェアは10.6%で、日本での2.1%、欧州での1.0%、北米0.8%に比べ非常に高い。個別では、フィリピンが16.0%と非常に高く、インドネシア10.7%、ベトナム9.8%、タイ8.6%と続く。なお、フィリピンでの2020年(暦年)のシェアは15%超であった。

 フィリピンでは、環境対応車(PHEV・EV)のラインナップ強化、ピックアップトラック・SUV・MPVなど新型車投入にくわえ、現地仕様小型商用車L300を一部のASEAN諸国に輸出しつつある。三菱自動車のフィリピンにおける生産・販売会社であるミツビシ モーターズ フィリピン コーポレーション(MMPC)において、2020年7月、L300の累計生産台数が20万台に達した。2020年9月には、プラグインハイブリッドEV『アウトランダーPHEV』を発売した。

 なお、フィリピンでは強固な事業基盤を構築し、トヨタに次ぐ業界第2位の地位を確固たるものにしている。上記のように、市場シェア15%超は、他の市場のシェアを大幅に上回り、世界最高となっている。MMPC市場シェアが、他市場に比べ非常に高いのは、フィリピンでの歴史が長く地道に事業基盤を強化してきたこと、モンテロ・スポーツ、パジェロ、ASX、アドベンチャー、L300など現地ニーズの高い多目的車のラインアップが豊富であることなどが挙げられる。

 MMPCの起源は1963年2月、そして、1964年5月にクライスラー・フィリピンとして生産を開始した。すなわち、生産開始から56年の歴史を有している。2009年にはフィリピン国内の自動車会社として初めて累計生産50万台、2016年5月には60万台、2019年11月には70万台を達成した。また、2019年4月には累計販売台数100万台を達成している。