続報:シェル、マランパヤ ガス田権益45%をウデンナへ売却

基本売却額3億8千万ドル、ウデンナ権益比率90%に上昇

2021/05/21

 パラワン島沖マランパヤ海底天然ガス田事業の(マランパヤ海底ガス田)の権益比率が大きく変化しつつある

 デニス・ウイ氏率いる新興複合企業ウデンナグループ(ウデンナ)は、5月20日、ウデンナ傘下のマランパヤ エネルギーXPが、シェル フィリピン エクスプロレーション(SPEX)を買収することでシェルと合意、SPEXの株式売買契約に署名したと発表した。SPEXは、マランパヤ海底ガス田の権益45%を有している。ウデンナによる基本買収額は3億8千万ドルで、エネルギー価格変動などに応じて最大8千万ドルの追加支払いが発生する可能性がある。ウデンナは、2020年のシェブロンからマランパヤ海底ガス田の権益45%を取得しており、SPEX買収が完了すると、権益が90%に高まる。残りの10%はフィリピン国家石油探査公社(PNOE-EC)によって保有されている。すなわち、マランパヤ海底ガス田の権益は、フィリピン資本が100%保有することになる。
 
 フィリピンにおける天然ガス利用は、2002年マランパヤ海底ガス田の商業オペレーション開始により本格化した。マランパヤで産出された天然ガスは、海底パイプラインによりバタンガスまで輸送され、バタンガスにおけるイリハン、サンタリタ、サンロレンソなどの発電所等に供給されてきた。マランパヤ産出天然ガスをエネルギー源とする発電所が、ルソン地域での総発電供給において大きな役割を果たしてきた。そして、輸入石油代替効果により、国家財政や地域及び地球環境に大きく寄与してきた。最近は、資源枯渇時期に関して焦点が当たるようになってきている。
 
 国内最大級のエネルギー・プロジェクトであるマランパヤ海底ガス田事業は、長らくSPEX(権益比率45%)、シェブロン マランパヤ(同45%)、フィリピン国家石油探査公社(同10%)コンソーシアムによって推進されてきた。しかし、上記のように権益比率は大きく変化しつつある。

 なお、ドゥテルテ大統領の地盤であるミンダナオ島ダバオ市を拠点とする有力財界人のデニス・ウイ氏は、ウデンナのもとで石油販売、海運、ロジスティクス、不動産開発などを幅広い事業を展開している。このほど始動した第3の通信企業であるDITOテレコミュニティは、ウデンナとその傘下のチェルシー ロジスティクス ホールディングス(チェルシー)、中国電信との合弁である。