JBIC、比トヨタファイナンシャルにドル建て融資

日本の自動車産業の海外事業展開を支援

2021/05/27

 国際協力銀行(JBIC)は、5月26日、「トヨタファイナンシャルサービス等が出資するフィリピン法人であるトヨタファイナンシャルサービス(TFSPC)との間で、米ドル建ての貸付契約を締結した」と発表した。

 今回の融資は、民間金融機関との協調融資により実施するものであり、TFSPCがフィリピンにおいて実施する主にトヨタブランドの自動車を対象とした自動車販売金融事業に必要な資金の一部を融資するものである。なお、5月26日の発表では、融資額や条件などは明らかにされなかった。

 フィリピンの自動車市場は、人口増加や経済発展により拡大を続けており、高いプレゼンスを維持しているトヨタ自動車を始めとする日本の自動車メーカーにとって重要な市場である。また、フィリピンでは、自動車購入時の販売金融の利用率が高いことから、各自動車メーカーの販売向上のためには、自動車販売金融が不可欠なツールとなっている。今回の融資は、日本の自動車メーカーの海外における自動車販売金融事業を支援するものであり、日本の自動車産業の国際競争力の維持及び向上に寄与するものである。

 JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、日本企業の海外事業展開を金融面から支援していく方針である。
 
 なお、現在のTFSPC株式保有比率は、トヨタファイナンシャルサービス60%、大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、証券コード:MBT)グループの持株会社GTキャピタル ホールディグス(証券コード:GTCAP)40%となっている。GTCAPは近年、トヨタ車事業を強化してきている。トヨタ自動車の製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ マニラベイ(TMBC)の58.05%を保有している。さらに、2014年9月に、TFSPC株式40%を取得した。

 TFSPCの最近の業績は新型コロナウイルス禍の影響を受けているが、基調としては、トヨタ車の競争力の強さや順調な販売増加を背景に、下表の様に堅調に推移してきている。2021年3月末の融資残高は前年同月末比30.8%増の1,000億6,860万ペソへと大幅増加、1千億ペソの大台を突破した。

 トヨタファイナンシャルサービス フィリピンの業績(単位:百万ペソ)

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
金利収入 3,026.7 3,641.7 4,920.6 6,164.7 6,958.7 7,467.5
純金利収入 1,767.7 2,148.8 2,860.8 3,254.7 3,082.1 3,556.2
純利益 515.5 555.1 687.6 786.8 579.6 130.4
融資残高 33,304.4 43,789.9 60,412.6 67,427.4 75,450.0 93,425.7
(出所: GTキャピタル事業報告書などより作成)