S&Pのフィリピン格付、トリプルBプラスに据え置き

3大格付機関で最高の評価、見通しも安定的を継続

2021/05/28

 世界三大格付機関の一つであるスタンダード&プアーズ(S&P)は、フィリピンの格付を「トリプルBプラス(BBB+)」、格付アウトルック(格付見通し)を「ステーブル(安定的)」に据え置くと発表した。「トリプルBプラス」は投資適格最低基準の2段階上であり、A格付まであと一歩というステータスである。

 新型コロナ感染拡大やその対策としての地域隔離措置の影響で、フィリピンの2020年GDP成長率は22年ぶりのマイナス成長に陥り、マイナス9.6%と過去最悪水準となった。しかし、S&Pは2020年の悪化は一時的なものであり、2021年は7.9%成長に回復と予想、中期的成長力の強さは変わらないとして、格付や格付アウトルック据え置きを決定した。

 S&Pは、フィリピン格付を既に2014年5月に「BBB」へ、2018年4月に「BBB+」へと引き上げており、世界3大格付機関のなかでは、最も高い評価となっている。S&Pと同じ米国系のムーディーズ インベスターズ サービス(ムーディーズ)のフィリピン格付は、2014年12月から「Baa2」が継続されている。「Baa2」は他の格付機関の「BBB」と同格である。また、欧州系のフィッチ・レーティングス(フィッチ)は「BBB」を継続している。双方ともに、S&Pの「BBB+」より1ランク低い格付となっている。

  なお、日本格付研究所(JCR)は、2020年6月11日に、フィリピンの格付をそれまでの「BBB+」から「Aマイナス(A-)」へと引き上げた。有力格付機関のフィリピン格付においては、JCRの「A-」が最高であると見られる。JCRは日本を代表する格付会社であり、米国での公式登録とEUでの認証を得ている日本唯一の格付会社である。 一方、格付投資情報センター(R&I)の格付は「BBB+」で、S&Pと同じ格付となっている。