比パナソニック(PMPC)、2020年度純利益2.8倍

3億6千万ペソに、売上高は9%減の109億ペソ

2021/06/13

    パナソニックのフィリピン製造拠点であるパナソニック マニュファクチャリング フィリピン(比パナソニック、証券コード:PMPC、会計期末3月)は、6月11日、2020年度(2020年4月~2021年3月)の情報報告書を公表した。それには、2020年度の決算速報などが記載されている。
 
 それによると、2020年度の売上高は前年度比(以下同様)8.6%減の108億8,310万ペソにとどまった。特に、エアコンが24%減、洗濯機が13%減と低調だった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う2020年3月央から5月15日までのルソン全域における「強化されたコミュニティー隔離措置」のもとでのリサール州タイタイやラグナ州サンタロサでの生産停止や販売活動中断が響いた。コミュニティー隔離措置の厳格度は緩和の方向にあるが、依然継続されており、新型コロナ感染の動向次第で一時的に再強化される状況が続いており、売上抑制要因となっている。
 
 しかし、売上原価が12.6%減少、売上原価率が76.4%と前年度の79.9%から3.5%ポイント改善、粗利益は7.1%増の25億6,980万ペソへと増加した。販売費が4.9%減少、一般管理費が8.7%減少したこともあって、税引前利益は99.4%増の4億7,859万ペソへと大幅増加した。所得税費用が6.2%増加にとどまったことで、純利益は183.1%増(約2.8倍)の3億5,802万ペソへと急増した。

 PMPCは、2021年6月4日現在の株主に対し、1株(額面1ペソ)当たり0.5245ペソの特別配当を実施。配当率52.45%ということになる。この配当支払日は2021年6月25日と予定されている。

パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン業績推移(単位:万ペソ)
項目 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 20年度伸率
売上高 671,343 812,434 997,428 1,049,008 1,152,081 1,190,695 1,088,310 -8.6%
粗利益 142,566 180,352 246,739 201,187 225,380 239,868 256,980 7.1%
税引前利益 21,695 39,969 66,721 31,692 27,459 24,006 47,859 99.4%
所得税費用 5,437 14,872 13,138 5,288 12,607 11,360 12,063 6.2%
純利益 16,258 25,098 53,584 26,403 14,852 12,646 35,802 183.1%
(出所:PMPC事業報告書及び年次報告書等から作成、20年度は速報値)

 PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初の合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ エレクトリック フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで約55年の長い歴史を有している。

 PMPCの前身が1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に新規上場され、現在もPMPCとして上場が継続されている。PMPCの発行済み株式は額面1ペソの普通株式約4億2,272万株である。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株約8,472万株がPSEに上場されている。2021年6月12日の終値は5.89ペソ、浮動株比率は14.91%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2021年3月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。