2020年の旅行・観光産業成長率、マイナス61%

過去最悪に、GDP寄与度5.4%へ激減(前年12.8%)

2021/06/17

 フィリピン統計庁(PSA)は6月16日、2020年のフィリピン旅行・観光産業の動向を発表した。それによると、2020年の旅行・観光直接粗付加価値額(TDGVA:名目ベース、以下同様)は前年比61.2%減の9,733億1,000万ペソと激減し、伸び率で記録の残る2000年以降で最悪、名目GDP(国内総生産)に対する寄与度も5.4%と2000年以降で最低となった。

 観光・旅行直接粗付加価値(TDGVA)とGDP(名目価格)(単位:百万ペソ)
TDGVA 成長率 GDP 成長率 対GDP比率
2011 694,484 18.3% 10,144,661 7.9% 6.8%
2012 851,869 22.7% 11,060,589 9.0% 7.7%
2013 974,302 14.4% 12,050,592 9.0% 8.1%
2014 1,169,216 20.0% 13,206,828 9.6% 8.9%
2015 1,380,042 18.0% 13,944,157 5.6% 9.9%
2016 1,575,417 14.2% 15,132,381 8.5% 10.4%
2017 1,944,193 23.4% 16,556,651 9.4% 11.7%
2018 2,238,961 15.2% 18,265,190 10.3% 12.3%
2019 2,507,486 12.0% 19,517,863 6.9% 12.8%
2020 973,310 -61.2% 17,938,582 -8.1% 5.4%
(フィリピン統計庁資料より作成、2019年は改訂値)

 2020年、観光・旅行業界は、全面的に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響を受けた。2020年のインバウンド消費(訪比外国人・在外フィリピン人の国内観光における支出)は、前年比77.9%減の1,326億ペソと激減し、過去最悪の減少率を記録した。また、2020年のフィリピン輸出総額4兆5,184億ペソに占めるインバウン消費のシェアは2.9%と最も少なかった(前年のシェアは10.8%)。

 フィリピン国民及び居住者による国内旅行・観光消費(海外旅行に付随して国内で支出するものも含め)は前年比82.3%減の5,569億ペソ。家計最終消費支出に占めるシェアは4.1%(前年のシェアは22.0%)。

 一方、旅行・観光産業における雇用者数は推定468万人で、前年(572万人)から18.1%減少、国内の総雇用者数の11.9%を占めた。

 以上の数値は国際基準に沿ったものであり、フィリピン観光サテライト勘定(PTSA)の最新データに基づいて見直しされている。PTSAはフィリピン統計庁(PSA)が観光省(DOT)、PSA観光統計省庁間委員会の協力を得て作成されている。