フィリピン航空持株会社、コロナ禍で大幅赤字続く

20年の赤字7倍の719億ペソ、21年1Qも86億ペソ

2021/06/18

 フィリピン航空(PAL)の持株会社であるPALホールディングス(証券コード:PAL)は、6月17日、2020年の年次報告書と2021年第1四半期(1月~3月)の事業報告書を開示した。

<PALの2020年、赤字719億ペソ>
 それによると、PALの2020年の営業収入は前年比(以下同様)64%減の553億ペソにとどまった。大幅減収は、新型コロナウイルス感染拡大やその対策としての外出・移動制限などによる。一方、運航便数の減少などで総営業費用は46%減の848億ペソとなったが、営業収入を大幅に上回った。金融費用を中心とするその他費用(ネットベース)も2.8倍の393億ペソへと急増したことから、帰属純損失(赤字)は7倍の719億ペソに達した。なお、ANAホールディングス(ANA)が、2019年2月28日、PALの発行済株式総数の9.5%を9,500万米ドル(約105億円相当)で取得している。

<PALの2021年第1四半期、赤字86億ペソ>
 PALの2021年第1四半期の営業収入は前年同期比(以下同様)74%減の83億ペソにとどまった。総営業費用は66%減の132億ペソであったが、営業収入を大幅に上回った。その他費用は33%増の36億ペソへと二桁増加した。これらの結果、帰属純損失(赤字)は86億ペソに達した。前年同期の赤字94億ペソからは8.4%減少したが、依然高水準の赤字を余儀なくされた。

 一方、格安航空(LCC)最大手であるセブ航空(証券コード:CEB、ブランド名:セブ・パシフィック航空)は既に、2020年年次報告書、2021年第1四半期の事業報告書ともに提出済みである。その動向は以下のとおり。
 
<セブ・パシフィック航空の2020年、赤字222億ペソ>
 2020年の乗客数は前年比(以下同様)78%減少、飛行便数は71%減少した。営業収入は73%減の226億ペソにとどまった。大幅減収効果とヘッジ損失などにより、最終損益は222億ペソの赤字となり、前年の91億ペソの黒字から急悪化した。そのなかで、貨物収入は6%減少と比較的堅調であった。

<セブ・パシフィック航空の2021年第1四半期、赤字73億ペソ>
 2021年第1四半期の収入は前年同期比(以下同様)83.0%減の27億ペソへと二桁減少となった。旅客収入は92.2%減の8億9,000万ペソ。運航便数が75.8%減、乗客数は87.5%減の50万人、客席稼働率は28.2%ポイント低下し53.2%だった。平均運賃も37.5%減の1,612ペソへと低下した。一方、貨物収入は30.3%増の13億2,000万ペソへと増加した。

 運航便数の減少、燃料費値下がり、ペソ高効果などにより営業費用は42.8%減の95億ペソへと減少したが、営業収入を大幅に上回った。その結果、営業損益は68億ペソの赤字となり、前年同期の7億ペソの赤字から9.7倍拡大した。更に、金利収入が98.9%減少したうえ、4億2,000万ペソのヘッジ損失発生などから、最終損益は73億ペソの赤字となり、前年同期(11億8,000万ペソの赤字)から赤字が6.2倍拡大した。