比太平洋セメント設備大幅増強、550億円調達

本社275億円追加出資、JBIC等が275億円融資

2021/06/30

 国際協力銀行(JBIC)は、6月29日、「太平洋セメント(本社:東京都文京区)との間で、融資金額165億円(JBIC分)を限度とする貸付契約を締結した」と発表した。

 この融資は、民間金融機関との協調融資により実施するものであり、協調融資総額は275億円である。太平洋セメントのフィリピン法人Taiheiyo Cement Philippines, Inc.(TCPI社、本社:セブ州サンフェルナンド町)が実施するセメント製造事業に必要な資金を融資するものであり、製造設備の更新・増強に充てられる。太平洋セメントは、TCPIを海外セメント事業における重要な生産拠点と位置付け、設備増強を通じて更なる生産能力の強化を目指している。
 
 なお、太平洋セメントは、2021年6月8日の開催の取締役会において、Taiheiyo Cement Philippines, Inc(TCPI社)の増資を引き受けることを決議している。TCPI社が生産ラインの更新を行うことに伴い、必要な資金を調達するため、増資を引き受けるものである。 この増資払込金額は275億円、2021年7月から2024年1月頃にかけて計6回の払込みを予定している。TCPI社の資本金は現行の21億8,000万ペソから146億8,000万ペソへと大幅増加する。太平洋セメントの出資比率は100%が継続される。

 また、太平洋セメントは、2020年11月、「TCPI社における最新鋭の生産ラインへの更新により生産能力を増強することを決定した」と発表した。その発表によると、フィリピンでは好調な経済成長に伴う建設投資の増加等により、セメント需要は堅調に推移している。2015年から2019年までの5年間で年間セメント需要は約30%増加し、3,200万トンに達したと推定される。2020年の需要は、新型コロナウイルス感染拡大等の影響により一時的に縮小したが、2021年は、政府の大規模インフラ投資計画「ビルド・ビルド・ビルド」等により、セメント需要は再び上昇に転じると見込まれる。

 TCPI社では今後も旺盛なセメント需要に応えるため、太平洋セメントグループがこれまで培ってきた技術や経験を最大限に活かし、世界的にも最先端の技術を採用した最新鋭の生産ラインを導入する。新ライン導入の総投資額とし300億円程度を見込んでおり、セメント生産能力を現行比40%増の年間約300万トンに増強する。また、将来、年間販売量500万トン、販売シェア10%以上を目指していく。

 新生産ラインはエネルギー効率が高く、従来に比べてエネルギー由来のCO2排出原単位を10%以上削減することが可能となる。また新生産ラインでは強度発現性の高いクリンカを生産することが可能となり、セメント製造に使用するクリンカ比率を削減することでさらなるCO2排出原単位の削減も期待できる。