上半期決算発表開始、アヤラ系BPIは1%の増益

貸倒引当56%減少、第2四半期は29%増益

2021/07/23

 2021年第2四半期(4月~6月)及び上半期(1月~6月)の決算発表シーズン入りとなった。銀行業界では、まず、アヤラ財閥傘下の有力拡大商業銀行バンク オブ ザ フィリピン アイランズ(証券コード:BPI)が、7月22日、決算速報を発表した。
 
 2021年上半期の総収入は前年同期比(以下同様)6.7%減の481億ペソにとどまった。主力の純金利収入は6.6%減の339億ペソへと減少した。純金利率が3.32%で前年同期の3.56%から24ベイシスポイント低下したことなどによる。一方、非金利収入も売買益減少が響き7.1%減の143億ペソと伸び悩んだ。

 営業費用は3%増の241億ペソに達したが、貸し倒れ引当が55.7%減の65億ペソに収まったことなどで純利益は1.2%増の118億ペソとなった。このように、上半期は小幅増益であったが、第2四半期の純利益は28.8%増の68億ペソと大幅増益で、四半期ベースでは新型コロナウイルスパンデミック禍以降での最高益となった。

 2021年6月末の総融資残高は、新型コロナ禍による経済活動停滞などで4.5%減の1兆4,000億ペソへと減少した。受け入れ預金残高も4.5%減の1兆7,000億ペソ。そのなかで、コストの低い当座預金・貯蓄口座(CASA)預金残高は10.7%増加、全預金残高に占める比率は83.2%へと上昇した。預貸率(LDR)は80.8%となった。
 
 総資産は3%減の2兆2,000億ペソであったが、株主資本は2,858億ペソへと増加した。不良債権(NPL)比率は2.94%、NPL貸し倒れ引当率は120%。年率換算の株主資本利益率(ROE)は8.4%、総資産利益率(ROA)は1.1%。バーゼルⅢ基準でのリスク加味自己資本比率(CAR)は17.82%で中央銀行の最低基準10%を大幅に上回っている。補完資本(TIER2)を除いた普通株式中核自己資本(CET1)比率も16.95%と良好で中央銀行の最低基準大幅に上回っている。

 なお、BPIは1851年に創立されたフィリピン最古の銀行であり、今年創業170周年を迎えた。170周年の今年、100%子会社である貯蓄銀行BPIファミリー セービングズ バンク(BFSB)を吸収合併、規模の拡大、効率化、シナジー効果、株主利益の最大化を図る方針である。合併後は、BPIが存続会社となる。BFSBはフィリピン最大級の貯蓄銀行であり、その資産は2,870億ペソ、受入預金残高は2,350億ペソ、融資残高は2,270億ペソ。行員数は約3,000人である。